アマゾンが「人の健康」対象に組んだ5つの稼ぎ方 医療や診療サービス、オンライン薬局など続々

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また、現時点では発表されていませんが、カスタマーセントリックを追求するアマゾンのこと、ユーザーの健康情報、医療情報をアマゾン・ヘルスレイクに蓄積させたのちに、健康保険など各種の保険サービスに結実させる目論見があるものと、私は予想しています。特に国民皆保険を持たないアメリカではニーズが高いはずです。

以下、アマゾンのヘルスケア事業5つを個別に見ていきましょう。

(1)AWSによる医療データ関連サービス「アマゾン・ヘルスレイク」

アマゾン・ヘルスレイクは、AWSの1つの機能、という位置づけです。病院、薬局などから医療データを収集、変換、分析し、医療従事者をはじめ保険会社、製薬会社などに提供するもので、2020年末にローンチされました。

その特徴は、これまでバラバラに存在していた患者に関する大量の医療データに、AIの自然言語処理などを加えることで、整理・インデックス化・構造化する点にあります。異なる形式やシステムで記録・保存・管理されているカルテや検査結果、保険の請求書、医療用画像、録音された会話、心電図や脳波など、完全性や一貫性を欠いているデータであっても、誰にとっても利用しやすい形で、医療情報を抽出できるのです。

例えば「血圧の高い患者にコレステロールを低下させる医薬品を使用して、昨年どのような効果があったか」といった質問に対して、「迅速かつ正確に答えを見つけることが可能です」とアマゾンは書いています。また医療データの傾向や異常を特定し、病状の進行状況、臨床試験の有効性、保険料の正確性、その他多くの用途において、従来よりも正確な予測を行うことが可能となります。

従業員向け医療サービスを全米企業を対象に拡大

(2)従業員向け診療サービス「アマゾン・ケア」

アマゾン・ケアは、アマゾンの従業員とその家族向けの医療サービスです。専用アプリを通じて、ビデオ通話とテキストチャットによるオンライン診療が可能なほか、必要に応じて訪問診療や看護も受けられます。エリア限定で処方薬のデリバリーサービスも含まれます。

アマゾン内でスタートしたのは2019年9月のこと。そして2021年3月には、このアマゾン・ケアを同年夏から全米企業を対象に拡大する、と報じられました。

「アメリカ時間3月17日の時点では、アマゾン・ケアは同社の本拠地であるワシントン州で、他の企業にサービスの提供を開始。これは、他の企業がアマゾン・ケアを従業員のための総合的な福利厚生パッケージの一部として契約することを目指している。アマゾンはこのサービスの大きな強みとして、検査におけるスピードの優位性を謳っている。

それは例えば、新型コロナウイルスをはじめとする検査結果の迅速な通達などが含まれる。アマゾン・ケアの仕組みには、アマゾンならではの工夫が凝らされている。対面ケアのオプションを利用すると、アプリを通じて医師や医療従事者の到着予定時刻が提供されるが、これはアマゾンのアプリが荷物の配送でやっていることと不気味なほどよく似ている」(「TechCrunch」2021年3月19日)

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