米国のマーケティング業界では、「マーケティングこそ女性が能力を発揮できる場所」という認識もあるのかもしれない。ブランド側(広告主企業)、広告会社側両方で女性マーケターは多いが、特に広告会社側ではより多い印象だ。テック領域はさすがに男性が多いが、ソーシャルメディア系(PR系)は女性比率がぐんと上がる。コミュニケーションがより重要になる分野では女性の能力がいかされやすいのだろう。
「ジェネラリスト的なスペシャリスト」が最強
ちなみに米国の場合、人材の流動性が極めて高く、広告主企業、広告会社などを行き来することがよくある。ブランド側と広告会社側の両方を経験するということはマーケター人材の育成にとっては非常にいいことだ。筆者も部下だった広告会社の若手には、「一度はブランド側に行って、事業責任を持つ立場になれ」とアドバイスすることもよくある。
前回も触れたが、マーケターが成長するためには、専門性をいかした上で一歩踏み出し大局的な視野を持つことが欠かせない。特に企業内マーケターはデジタルマーケティングやデータマーケティングなどの専門性もさることながら、社内外とのコミュニケーション能力を武器に「回路を繋ぐ役」としてのスペシャリストになることが大切だ。これは力技もかなり必要な立ち位置で、従来あまり女性がやってきていない役割かもしれない。
しかし次世代マーケティングにおいてはこうした「ジェネラリスト的なスペシャリスト」であることが最も重要なスキルセットである。いわゆる「プロデューサー役」とでも言ったらいいのだろう。私が女性にマーケターを勧める理由はここにある。いきなり男性同様のジェネラリストとして生きるのではなく、本来女性が得意とするであろう専門性を武器にして、経験や覚悟ができた時点で「ジェネラリスト的なスペシャリスト」としての活躍の場がつくりやすいのだ。マーケティングにおける「総合プロデューサー」を女性も目指して欲しい。
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