BTS×キシリトール、タッグを組む意外な理由 「世界を笑顔にする」ナラティブ(物語)の紡ぎ方

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さらにロッテは、保育園・幼稚園向けの専用商品を今年の5月から販売開始した。ロッテとして初めてとなる専用商品は、「キシリトールラムネ<北欧フィンランドデザイン>」と名付けられ、まさに「日本をフィンランド化する」というナラティブの実践手段として大きな役割を担うことになる。

会津若松市に続いて、神奈川県海老名市、福岡県北九州市、山口県周南市もプロジェクトへの参加を決定し、自治体との共創も現在進行形で進んでいる。

さて、BTSもロッテも、その活動の背景には、言わずもがなSDGs(2015年に国連が定めた「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称)の存在があり、またより企業経営に直結するものとしてESG(環境〈Environment〉、社会〈Social〉、ガバナンス〈Governance〉の頭文字)がある。

かつてのように、社会貢献活動は、「やっておいたほうがいいもの」ではない。企業価値最大化のために「やるべきこと」なのだ。そして、今回のコロナ禍はそれに拍車をかけた。この領域におけるナラティブは非常に重要である。

まず、SDGs達成には「共創」が重要なポイントになる。なぜなら、SDGs達成のための活動は、あらゆる人や組織に関与し、相当な巻き込みが必要になるからだ。目的達成のための舞台は広く、全世界、社会なので、たくさんのステークホルダーが納得することが重要になってくる。よって、当然ながら、企業単独の活動にはなりえない。必然的に、共創構造というものが、企業のSDGsの取り組みには必須になる。

SDGsもナラティブも終わりがない

次に「未来視点」。SDGsは、環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんが言っているように、将来世代のためであることが大前提だ。そのためSDGsの活動は現在進行形で、いつか終わるというものではない。国連の目標では2030年までに達成と期限が区切られてはいるが、あくまでも現在進行形かつ未来視点の活動であることに変わりはない。ナラティブには終わりがない。その点においても、ナラティブと企業のSDGsへの取り組みは関係が深い。

BTSとロッテ。一見関わりのないような二者だが、そこにはナラティブという共通点があった。今回の発表によれば、「Smile to Smile Project」は日本をはじめベトナム、インドネシア、タイ、台湾、アメリカ、カナダでの展開を予定。韓国のロッテ製菓も参画する大規模なグローバル横断プロジェクトになるようだ。

価値観や社会背景の異なる世界で、どのようなナラティブを紡いでいけるか――「物語」の行方に注目していきたい。

本田 哲也 本田事務所代表取締役、PRストラテジスト

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ほんだ てつや / Tetsuya Honda

「世界でもっとも影響力のあるPR プロフェッショナル 300 人」に 『PRWEEK』 誌により選出されている。「PRWeek Awards 2015」にて「PR Professional of the Year」受賞。1999年に世界最大規模のPR会社フライシュマン・ヒラードの日本法人に入社。2006年ブルーカレント・ジャパン代表。2019年より現職。著書に『戦略PR 世論で売る。』(アスキー新書)、『その1人が30万人を動かす!』(東洋経済新報社)など。国連機関のアドバイザーなどを歴任。世界最大の広告祭カンヌライオンズで公式スピーカーや審査員を務めている。公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会(PRSJ)理事。

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