「テスラ」が赤字から脱出できた超意外なカラクリ 2021年1月末の時価総額はなんと82兆円

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閉鎖直後の2010年5月、NUMMIの工場を取得したのがテスラだった。同時にトヨタとテスラは包括提携し、EVの共同開発をすることにもなった。テスラが大手自動車メーカーと提携したのは2008年のダイムラーとの提携に続き2社目だった。

テスラはトヨタ生産方式を活用し、効率の高い生産体制を実現していた工場を「居抜き」で買うことができたのだ。NUMMIで働いていた作業員の一部も残った。EVの効率的な生産に苦しんでいたテスラにとってNUMMIの取得は実に幸運なことだった。

一方トヨタも当時、豊田社長がテスラとの提携を歓迎し、「トヨタにはないベンチャー企業のスピード感を学ぶことができる」と語っていた。

このころテスラはパナソニックとも自動車用の電池開発や生産で提携することになり、日本のものづくりのノウハウを学ぶことができた。その後のテスラのスプリングボードになったのが日本メーカーだったのだ。

テスラが2012年に発売した「モデルS」はNUMMIで生産され、パナソニック製のリチウムイオン電池が搭載された。ようやくEVとしても競争力のあるクルマをつくれるようになって、いよいよ高級車市場に足を踏み入れた。

高級車市場で大きなシェアを獲得していたダイムラーやBMW、ポルシェなどドイツ勢のシェアをテスラは切り崩し始めた。テスラと提携していたダイムラーは株を売却して、提携関係を解消、一転して「打倒テスラ」と敵対関係になっていく。とはいえこのとき、メルセデスはテスラ株の多額の売却益をちゃっかり手にしている。

トヨタとの関係も「協調」から「競争」に…

モデルSのテレビCMで、「テスラはポルシェターボよりも加速力がある!」とアピールしたものだから、ポルシェも「打倒テスラ」の陣営に入っていく。2015年秋のドイツ・フランクフルトモーターショーで発表されたEV「ミッションE」は、テスラに対抗するためのクルマだった。高級車市場で強いドイツメーカーがEVで巻き返し、急成長するテスラを叩こうとしたのだ。

初期の段階ではテスラと協調関係にあったトヨタの立場も変わっていく。提携の初期段階では、トヨタはSUV「RAV4」をベースにしたEVを共同で開発したが、環境規制の強化でトヨタもEVの開発に本腰を入れざるを得ない状況になった。両社の関係はそれまでの協調から競争へと変わっていく。

提携時にテスラ株の3.15%を約45億円で取得したトヨタも、2014年からその一部を売り始め、2016年末までにすべてを売り、関係を解消した。

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