理科実験を導入する塾が体現する理想の中学受験 「うのき教育学院」は過当競争から一線を画す

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4年生まではほぼ毎週実験を行う。5・6年生でも実験は適宜行う。現在はコロナ禍で自粛しているが、例年だと、4年生で水の科学館と東京国立博物館・国立科学博物館、5年生で葛西臨海公園と江戸東京博物館・旧安田庭園に足を運ぶ。

「実物に触れるためという言い方をしていますが、実態は懇親的色合いが濃いです。『この問題、博物館で見た!』と気づいてくれる子もいますが、それを体系的に期待しているわけではありません。楽しかったと思ってくれればいい」

ちなみに、全員が中学入試を終えた翌週に、卒業遠足として東京ディズニーランドに行くのも恒例だ。「絶対卒業遠足に行きたいから、最後まで頑張る」という子もいるという。ディズニーランドそのものは家族とだって行ける。でも、入試を終えた晴れ晴れした気持ちで、塾の仲間とみんなでディスニーランドをエンジョイする姿をイメージして、小学生たちは毎日自分を鼓舞しているのだ。

ある生徒は「あー、楽しかった」と言いながら実験室を出ていった(筆者撮影)

塾で頑張り家庭ではリラックスするメリハリ

うのき教育学院は1教室だけの地元密着型中小塾だ。創立は2003年。1学年の定員約40人。3年生には読書や作文の経験を積むための予科が設けられており、4年生から本科が始まる。

2021年度の合格実績から人気校をいくつか抜粋すると、女子学院、洗足学園、学習院女子、香蘭、芝、暁星など。ホームページの合格実績は50音順で記されている。特定の学校名だけ拡大したりもしていない。ここにも、うのき教育学院の中学受験観が表れている。

理念は「10年先を見つめ夢の実現を応援します」。大学を卒業して親元を巣立つときをイメージして、指導する。決してゆるい塾ではないが、小学生の限度を超えた無茶はさせない。

そのために、生徒のレベルに応じたきめの細かい課題設定をしている。各自が購入している教材から問題を抽出し、3段階のレベル別に編集し、授業用冊子および宿題用冊子として与える。教科ごとにそれを行うので、課題設定はほぼ1人ひとりにカスタマイズした形になる。

上位レベルの冊子でもまだ余裕がある生徒には、プラスαの課題も追加する。下位のレベルの冊子でも厳しい子には、何ができていないのかを細かく分析し、必要に応じて1学年下の問題集からそっと問題を抜粋してきて冊子にして与えることもある。与えられた冊子の中身はそれぞれ違っても、手渡された冊子を全力でやればいいことに変わりはない。

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