女性社外取締役「アリバイ選任」する会社への疑問 登用は歓迎すべき流れだがその意味は一体何か

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日本の登用が遅れていた日本で、女性取締役が増えることは歓迎すべきことだ。一方で、女性を選任する企業側の姿勢に疑問を呈する声もある。

コンサル人材のマッチングサービスを展開するビザスクで社長を務める端羽英子氏もその1人だ。2020年の3月に会社が上場するや、日本では希少な女性経営者である端羽氏のもとに、4社から「社外取締役をやってくれないか」と打診が来た。

が、そのうちの1社は「(端羽氏のどんな知見が会社に必要なのかではなく)『女性の社外取締役が欲しい』と率直に言われた」という。結局、本業が忙しく、事業領域も異なっていたため、依頼は断ることにしたという。端羽氏自身の経験を踏まえ、ビザスクは2020年12月から、企業のニーズに合った社外取締役人材をマッチングするサービスに参入している。

「ちょっと聞いてくれるだけでいい」

ある女性研究者も、「社外取締役の打診を受けた経営者と面談をしたところ、『経営戦略を立てて欲しいわけではない』『私たちが決めたことに対して、ちょっと聞いてくれるだけでいい』と言われた」と憤慨する。

その点では、前述の不二家が酒井美紀氏を選任した理由についても疑問符がつく。株主総会の招集通知には、酒井氏が社会貢献活動に熱心で、かつ「主婦の視点」を持つことを理由に挙げるが、経営への助言や監督を期待される社外取締役に会社が期待する役割として、曖昧な感は拭えない。

経団連は、2030年までに女性役員の比率を3割にすると、初めて数値目標を発表した。(写真:日本経済団体連合会)

前出の佃社長は、昨今の女性社外取締役ブームについてこう苦言を呈する。

「女性を登用する目的と手段が入れ替わっているケースがある。そして、数合わせで女性を登用した企業が評価される一方で、社内の女性登用に力を入れて、将来の女性役員を育てようとしている企業が、取締役にまだ女性がいないという理由だけで株式市場からの評価を下げるという皮肉な事態も起きている」。

企業にとって女性を登用する意味は何か。女性さえいれば、経営に多様性は生まれるのか。原点に戻って熟考する必要がある。 

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