手間かけずに再現「懐かしのナポリタン」の作り方 ポイントは「パスタを水からゆでる」こと

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沸騰するまでにデンプンが水分を含む時間があるので、寝かせた麺ほどではないですが、十分にモチモチ感がでます。冷たい水から加熱すると袋の表示時間よりも1~2分短い時間でゆで上がりますが、ナポリタンはやわらかめにゆでたほうがおいしいので、袋の表示時間を目安としています。

このパスタを水からゆでる方法はフードライター、ハロルド・マギーが考案したもの。ある日のこと。大きなパスタ鍋で沸かした湯をシンクに流したとき、彼の頭に一つの疑問が浮かんだそうです。

「自分はなぜパスタをゆでるよりもこのお湯を沸かすのにたくさんのエネルギーを使って、しかもそれを排水口に捨てているんだ?」

少ない水とエネルギーでパスタを調理したらどうなるだろう、と彼は実験を重ね、熱エネルギーと水を節約することができるこの方法に行き着きました。

湯の量を減らしてもパスタ同士がくっつかない

たくさんの湯でパスタをゆでる派の根拠は「たっぷりの湯でゆでないとパスタがくっつく」というもの。しかし、実際には湯の量を減らしてもパスタ同士がくっつくことはありません。表面からでたデンプン質は希釈されれば、糊状にはならないからです。

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この水からパスタをゆでる方法はカッペリーニ以外のほとんどの種類のパスタに応用することが可能です。特にペンネなどのショートパスタをゆでるときに便利なので知っておいて損はないでしょう。

さて、気になるのはパスタ料理が得意なイタリア人の感想ですが「悪くないし、これまでどおりパスタをゆでることができた。でも、自分はこれからも昔ながらの方法でパスタをゆでる」というものだったそう。

この反応はなんともイタリア人らしいといえますが、パスタを少ない水でゆでることで、普通にゆでるよりも濃いパスタのゆで汁を得ることができます。濃いゆで汁をソースに使うとパスタソースとオイルが乳化しやすくなるので、ペペロンチーノなどをつくるときにもオススメの技法です。

樋口 直哉 作家・料理家

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ひぐち・なおや / Naoya Higuchi

1981年東京都生まれ。服部栄養専門学校卒業。2005年『さよなら アメリカ』で第48回群像新人文学賞を受賞しデビュー。著書に小説『スープの国のお姫様』(小学館)、ノンフィクション『おいしいものには理由がある』(角川書店)、『新しい料理の教科書』(マガジンハウス)、『最高のおにぎりの作り方』(KADOKAWA)などがある。

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