強制着陸で逮捕されたベラルーシ活動家の「命運」 ロシア人交際相手と休暇を楽しんだ後捕まった

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ベラルーシの反体制活動家のローマン・プロタセビッチは、5月23日乗っていた航空機が緊急着陸させられ、その後拘束された。写真は2017年にミンスクで警察に拘束された時の様子(写真:AP Photo/Sergei Grits)

ベラルーシの高校に在学していた10代で反体制活動に足を踏み入れて以降、さらには20代に入り国外に逃れて活動を続けるようになってからも、ロマン・プロタセビッチはベラルーシの治安当局から数え切れないほどの脅威にさらされてきた。激しい暴行、投獄、家族への懲罰を匂わす脅迫などだが、「そうしたものに私たちは慣れっこになっていた」と国外で活動する反体制派の同志は振り返った。

プロタセビッチは昨年、ベラルーシから死罪に当たるテロリスト認定を受けていた。にもかかわらず先日、ギリシャで会議に参加し、ロシア人交際相手のソフィア・サペガと短い休暇を過ごすため居住地のリトアニアを出発したとき、プロタセビッチはそこまで心配することなく安心していた。脅迫慣れしていたためだ。

ところが、そうした安心感は5月23日に砕け散る。この日、帰路で搭乗したギリシャ発リトアニア行きの民間旅客機はスクランブル発進したミグ29戦闘機に緊急着陸させられ、2人はミンスク国際空港の駐機場でベラルーシ治安当局に拘束された。

大規模暴動の組織に関与したと自白

26歳のプロタセビッチは今、66歳のベラルーシ大統領アレクサンドル・ルカシェンコからの報復に直面している。プロタセビッチはかつてルカシェンコから成績優秀な生徒に与えられる奨学金を受け取ったことがあるが、後にルカシェンコに公然と反旗を翻し、強烈な批判を展開するようになった。

ベラルーシ当局が24日に公開した短い動画でプロタセビッチは、ベラルーシの首都ミンスクにおける昨年の「大規模暴動」の組織に関与したことを認めたが、これは強要された自白だとプロタセビッチの友人は話す。

昨年8月の大統領選挙後、数週間にわたって続いた反政府デモをベラルーシ政府は「大規模暴動」と呼んでいる。1994年から権力の座にあるルカシェンコはこの選挙に大勝し再選を果たしたと宣言したが、結果が公然とねじ曲げられた不当選挙だったとの見方が広がる。

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