給料の出所を知らない人が稼げないのが必然な訳 今の会社に縛られ上司を喜ばせても仕方がない

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仕事に限らず、日本では「1つの道に邁進せよ」というプレッシャーをいろんな場面で感じることがあります。

14歳の日常に深く関わる「部活」もそうではないでしょうか。学校に入ると、いろんな部活の先輩から入部を勧められると思います。バスケ部も書道部もパソコン部も英語部も面白そう……。でも、「1つに選んで」と言われてしまう。

かけ持ちはできなくはないけれど、なかなかやりづらい仕組みになっています。君も中学では剣道部だけに所属していたけれど、他の部活にも入ってみたくて、もどかしさを感じていましたね。

「夢中になっていいことは1つまで」

「しかも、一度決めたら簡単に辞めてはダメ」

「頑張って3年間続けなくてはいけない」

そんな部活の常識は、そのまま仕事の古い常識と一致します。終身雇用型の働き方でうまくいっていた時代の大人たちが、無意識につくり出した学校文化なのかもしれません。

古いルールは変えたっていい

それでハッピーならいいのだけれど、中高生のみなさんが苦しかったり、窮屈に感じていたりするのならば、古いルールは変えたっていい。

今の中学生・高校生は、君たちの感覚に合う部活カルチャーをどんどんつくり直してほしいと思います。

海外では、複数のクラブ活動をかけ持ちしたり、シーズンごとにスポーツの種目を変えたりするのは当たり前なのだそうです。そういう学生生活を送っているから、アメリカ人は転職にも抵抗なく、より自分が楽しめる職場を求め続けるという仮説も立ちます。

僕だったら、「パラレル部活が原則! 転部は回数無制限」くらいのスローガンを打ちます。

実際のところ、僕は高校生の頃、1つの部活では満足できずに、将棋部と陸上部と生徒会と応援団をかけ持ちしていました(こうやって、14歳の君が感じているもどかしさは解消されていくから安心してほしい)。さらにピアノも好きだったから、習い事としてピアノも続けていました。

忙しかったけれど、全部やりたかったから、我慢しないことにしました。そして、全部を楽しみました。

『14歳の自分に伝えたい「お金の話」』(マガジンハウス)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら

今思えば、時代を先取りした高校生だったのかもしれません。

僕が言いたいのは、「ルールは変えたっていい」ということ。

君が変えたければ、そして周りの仲間の賛成をたくさん集めることができたら、ルールは自由に変えられるし、変えていくべきと思う。

そうやって、社会は少しずつ進化してきたのだから。

手始めに、部活のかけ持ちか転部にチャレンジしてみるのはどうだろう?

「やりたいことを諦めない人生を送るためのトレーニング」だと思って、トライしてみる価値はあると思います。

藤野 英人 投資家。レオス・キャピタルワークス代表取締役会長兼社長CEO&CIO

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ふじの ひでと / Hideto Fujino

1966年富山県生まれ。国内・外資大手投資運用会社でファンドマネージャーを歴任後、2003年に独立しレオス・キャピタルワークス株式会社を創業。とくに中小企業株および成長株の運用経験が長い。「お金」や「投資」を通して、株式会社や日本社会、世界経済のあるべき姿を模索し続けている。教育にも注力しており、東京理科大学上席特任教示、叡啓大学客員教授、淑徳大学地域創生学部客員教授も務める。著書に『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(星海社新書)、『投資家みたいに生きろ』(ダイヤモンド社)ほか多数。

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