こうした「スタートアップ・エコシステム」がアメリカに生まれたことは、理解できる。
しかし、中国でこうしたことが可能になったのは、驚きだ。
私は、共産党独裁体制における市場経済はありえないと思っていた。腐敗が生じてしまうからだ。しかし、この見方は間違っていたのかもしれない。
米中経済摩擦のあおり:バイトダンス買収問題
米中経済摩擦は、すでにユニコーン企業にも影を落としている。
バイトダンスについて、アメリカ議会は「利用者のメッセージや位置情報データを中国政府に渡す恐れがある」との理由で警戒し続けていた。
TikTokを使用することによって個人情報が流出するのではないかと危惧するトランプ前大統領は、アメリカ国内から排除する方針を打ち出した。
そして、2020年8月にバイトダンスとの国内取引を禁止する大統領令を発表した。
これを受けて、まずマイクロソフトが名乗りをあげた。それが挫折したあと、9月にはIT大手オラクルと小売り大手ウォルマートによる買収案が作られ、トランプ前大統領が原則承認した。
しかし、結局のところ、売買契約はキャンセルされた。この事件は、トランプが起こした茶番劇だったのかもしれない。
しかし、今後米中経済摩擦が激化すれば、同様の問題が起きる可能性は十分ある。
なお、5月20日、バイトダンス創業者の張一鳴氏が最高経営責任者(CEO)から退任するとの発表があった。
中国では、アリババ集団など巨大IT企業の創業者退任が相次いでいる。
前述したアント・フィナンシャルの上場延期事件などと考え合わせると、急成長してきた中国のIT業界に地殻変動が始まっているのかもしれない。
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