大手ゼネコン、受注堅調も「2ケタ減益」続出の衝撃 大型・小型工事の受注競争に見え始めた異変
期初計画のため、各社とも慎重な見通しを出している側面はある。ただ、根本的な理由は建築工事の受注競争が激化し、工事採算が低下していることに他ならない。
大成建設は建築事業(連結ベース)の売上高総利益率が前期の12.6%から今期は8.6%と4ポイントも悪化、大林組も前期は11.2%だった建築事業(単体ベース)の売上高総利益率が今期は8.9%に悪化を見込む。
受注を取り巻く事情をつぶさに見ていくと、工事高100億円以上の大型工事と、100億円未満の中・小型工事では環境が少し違うことがわかる。
大型工事は「スーパー同士のたたき合い」
まず大型工事は、スーパーゼネコンの間で激しい受注合戦になっている。「大規模な案件は同規模企業同士の争い。スーパーゼネコン同士のたたき合い」(大成建設の桜井副社長)。
規模の大きい再開発案件はこの先も東京・新宿や品川などで残っているものの、「工事量は数年前に比べて減ってしまっている。限られたパイの中での受注競争となるため、値段の競争になる。かなり安いので(採算確保は)話にならない」(大手ゼネコンの首脳)。別の大手ゼネコンの幹部は「当社では大型案件でも粗利益率7%を確保したいが、5%を切る水準で受注する企業も出てきている」と明かす。
大林組のIR担当者も「再開発などの大型工事は一般的な工事に比べて採算が低い。しかも、いま手元にある再開発関連の工事が終わるのは2023年3月期とか、さらにその先のものがほとんど。工事が進捗すると原価低減も進むため利益率が向上していくが、当面はあまり利益寄与が大きくない」と説明する。
スーパーゼネコンの取り合いになっている大型工事に対し、中・小型工事はスーパーから大手、中堅ゼネコンが入り乱れた争奪戦となっている。
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