7:日本の高校生活はどんな感じでしたか?
ソフトテニス部だったのですが、高校時代の前半は部活が中心の生活でした。開成高校の名物といえば運動会で、その前は朝から晩まで運動会のことばかりでした。ただし、定期試験の勉強だけはちゃんとやっていました。5月に運動会を終えてから受験までの10カ月は、ひたすら勉強でした。夏休みは朝8時から夜8時まで図書館で勉強していました。
8:大学時代(学部時代)にハマったことや、東大時代に出会った面白い人について聞かせてください。
学部時代の前半はひたすら遊んでいました。人並みに浮ついた気持ちもあって、テニスサークルに入りました。
後半は、著書に書いたように、中須賀研究室での人工衛星作りに没頭しました。中須賀研究室の仲間たちは面白い人ばかりでした。宇宙への純粋な情熱を持った人たちでした。
彼らは今、JAXAで、メーカーで、ベンチャー企業で、あるいはドイツやタイで、立場こそさまざまですが、宇宙を目指して頑張っています。
9:将来、日本の宇宙開発に戻られますか? 中国の宇宙開発に恐怖はないですか?
宇宙における発見は、どの国がなそうとも、等しく人類にとっての価値です。だから僕は中国の宇宙開発における台頭をむしろ歓迎しています。日本も『はやぶさ』などですばらしい成果を上げています。僕は当面はJPLを離れるつもりはありませんが、アメリカにこだわるつもりはありません。
10:本の題名にもある「海」はいろんなところが宇宙と似ていると思いますが、小野さんの「海への想い」をお聞かせください。
まさにおっしゃるとおり、海はさまざまな点で宇宙と似ています。未知の世界が多く残されていること。冒険の対象であること。そして何よりも、美しいこと。
なぜか僕は海の見える場所だと仕事がはかどります。今回の本の原稿の多くの部分は、サンタモニカの砂浜のビーチチェアの上で、あるいはパロスバーデスの海を見下ろすカフェで書かれたものです。
僕の趣味のひとつがスキューバダイビングです。ウェットスーツを着て、ボンベを背負い、マスクをつけて海に潜って、地上とはまったく違う世界を目にすると、なんだか宇宙に来た気分になります。
僕は職業として宇宙飛行士になりたいと思ったことは一度もありませんが、いつか旅人として行ってみたいとは思っています。
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