歌舞伎町で闘う「ぼったくり相談室」の大きな役割 警察の対応をも動かしたある弁護士の奮闘

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「歌舞伎町ぼったくり被害相談室」のサイト(画像:「歌舞伎町ぼったくり被害相談室」サイトより)

被害者の大半は、料金が数千円程度と思って飲んでいたところ、会計時に数十万円を請求されて、初めてぼったくりと気づく。心の準備もできておらず、動揺しているときに「正当な金額です」「無銭飲食する気ですか」「払うまで返しませんよ」などと詰められ、わらにもすがる思いで「新宿 弁護士」と検索し、青島さんにたどり着くことが多いという。

当時から、青島さんは事務所に遅くまでいることが多かった。不在時でも、事務所にかかってきた電話はスマホに転送されるため、つながりやすかったのも、相談が相次いだ要因かもしれないと振り返る。

ぼったくりの手口とは…

そもそも、ぼったくりはどのような手口で行われるのか。青島さんは、「特別手が込んでいるわけではないんです」と解説する。

弁護士の青島克行さん(撮影:尾形文繁)

「路上で客引きから、『1時間〇千円で飲み放題です』と言われて、それならとお店に入りますよね。楽しんでいると、知らないうちに女の子がたくさん飲み物を頼んだことになっていて、会計時に数十万円を請求されるんです。客が酔っ払ってしまった場合は、『女の子にたくさん飲ませてましたよ。覚えてないんですか?』などと、店のいいようにされてしまう。いずれにせよ、客引きを使って安い金額を提示し、お店に連れてきて、当初とまったく違う請求をする手口なんです」

歌舞伎町ぼったくり被害相談室でも、料金明細を見たところ、女の子たちが50杯以上もお酒を注文したことになっていた、という被害事例がある。常識で考えたら明らかにおかしいことを、ぼったくり店はすまし顔で行っているのだ。さらに、聞かされていないテーブルチャージやTAXが加算され、より高額になっているケースもあるという。

こういった手口のぼったくりは、2014年7月~2015年6月にかけて、歌舞伎町で大流行した。当時の報道によると、2014年に歌舞伎町でのぼったくり被害を通報する110番は約670件だったが、2015年1~4月だけで1000件以上に急増した。その理由として、最も大きかったのは警察の対応だと青島さんは言う。

当時の警察は、客が救いを求めて交番に来ても、民事不介入を理由に助けようとしなかった。身に覚えのない請求をされていると訴えても、「金額の高い・安いはお店が決めること」「支払わないと無銭飲食になる」「裁判を起こされたら面倒になるから、この場で決着つけたら?」など、悪い意味で中立だったのだ。

民事不介入とは、個人間のトラブルに警察は関与できない、という原則である。ただ、客と店の単なる料金トラブルではなく、詐欺や脅迫の要素があれば、刑事事件になりうるはずと青島さん。客の言い分を詳しく聞かずに、関与しようとしない警察の対応はおかしかったと語気を強める。

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