アップル「中国政府への譲歩」示す5つの疑問行動 利用者データを中国政府のサーバーに保管か

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中国共産党内部の腐敗疑惑を暴露した中国人富豪の郭文貴氏が作成したアプリを削除するよう中国のインターネット規制当局が2018年に命じると、アップル首脳陣は郭氏を「中国での監視対象」に加える決定を下した。裁判所文書によると、郭氏の名前が出てくるアプリをソフトウェアで検閲し、そうしたアプリを却下するよう審査員に指導する措置がとられるようになったという。

ところがその後、郭氏のアプリがアップルの防衛網をすり抜けて、アップルのアプリ配信サービス「アップストア」で公開されるという事件が起こった。中国当局はアップルに連絡し、いったいどういうことかと回答を迫った。

アップルのアプリ審査責任者は午前2時32分に送信した電子メールで同僚にこう伝えた。「本アプリならびに郭氏関連のいかなるアプリも、中国のアップストアで公開してはならない」。問題を調査したアップルはその後、同アプリを承認した審査員を解雇した。

アップルは、このアプリ審査員を解雇したのは勤務成績が振るわなかったためで、郭氏のアプリを中国のアップストアから削除したのは現地で違法になると判断したためだとコメントしている。

中国外では利用可能なアプリを削除

5.中国では何万というiPhoneアプリが消滅

ニューヨーク・タイムズが分析したところ、中国では2017年以降、およそ5万5000の現役アプリがアップストアから削除されている。ほとんどが中国国外では今もダウンロード可能なアプリだ。

削除されたアプリのうち3万5000以上がゲームだった。中国ではゲームアプリの配信には規制当局の許可が要る。残る2万は幅広いカテゴリーで、外国メディアのニュースアプリ、同性愛者向けの出会い系アプリ、暗号化されたメッセージングアプリなどが含まれていた。アップルはダライ・ラマ関連のアプリのほか、民主化を求める反体制運動を組織したり、インターネット規制を回避したりするためのアプリも排除している。

アップルは、開発者がアプリを自ら引き上げた例もあるとして、ニューヨーク・タイムズの分析結果に異議を唱えた。

(執筆:Jack Nicas記者)
(C)2021 The New York Times News Services

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