泉岳寺駅から西側は、駅名の由来となった泉岳寺付近から、武蔵野台地の末端にあたる丘陵地となり、坂道が多くなる。高級住宅地として知られるエリアで、これ以上の開発余地はない。
そもそも高輪築堤自体が旧東海道(現在の第一京浜国道)沿いに用地が確保できないため、やむなく海の中に築かれたものだ。それほど、この付近の地勢は険しい。江戸幕府が交通規制と治安維持を目的として、ここに「高輪大木戸」を設けたのも、戦略上の要地ゆえだ。
一方、高輪築堤から東はすべて明治以降の埋め立て地。もちろん今は建造物が林立しているが、西側と比べると再開発の余地がありそうである。
高輪ゲートウェイ駅の東は、縮小されたとはいえ車両の留置線が並び、東海道新幹線が通っている。その東はといえば、東京都の下水道処理施設「芝浦水再生センター」だ。この施設の一部の上は、港区立芝浦中央公園と高層ビル「品川シーズンテラス」となっている。これらへは、歩行者ルートの整備後は、品川駅から歩くより高輪ゲートウェイ駅のほうが近くなりそうだ。
駅東側の再開発にも要注目
さらにその東側は運河を挟んで、港区港南3丁目となる。ここは東京モノレールと東海道新幹線の大井車両基地への連絡線が通っているが、鉄道駅はない。JR東日本の羽田空港アクセス線に改築される計画の旧貨物線「大汐線」(現在は休止中)も、新幹線の線路に並行しているのだが、やはり駅新設の計画はない。現在は都バスがこの地域の主な交通機関となっている。
品川開発プロジェクトのオープン後、さらなる発展を図るとしたら、この港南3丁目、あるいは芝浦4丁目方面となる。高輪ゲートウェイ駅と港南地区を結ぶ、約240mの歩行者専用橋も整備される予定となっており、現在は「裏側」のイメージがある、このエリアの変貌も図られるかもしれない。
すでに、港区が整備主体となって、芝浦4丁目では集合住宅「カナルサイド高浜」の高層ビルへの建て替え工事が始まるなど、品川開発プロジェクトまたは中央リニア新幹線品川駅開業をにらんだ整備計画が進んでいる。
新型コロナウイルス感染症流行が予測できなかったように、社会的な情勢の先行きはなかなか読めるものではない。新駅を核として生まれる新しい町も、その影響を強く受けるだろう。本格的な街開きが行われても、そのまま素直に発展してゆけるかどうか。注目し続けなければならないエリアである。
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