そのほかにも問題点はあります。まず低所得国と高所得国の間で生じている価値観の差。これは非常に大きい。要するに、貧困国であればあるほど、報道されません。これは鉄則です。
データを分析すると、報道されるかどうかの分かれ目はまだある。人種的な問題もその1つでしょう。まずは日本人かどうか、その次は白人かどうか。この差は本当に大きい。肌の色だけではありません。黒人であっても、アメリカに住んでいる黒人はまだ注目されます。だから、ブラック・ライブズ・マター運動は日本でも注目されました。
では、アフリカの黒人は? コンゴ民主共和国の紛争がそうだったように、アフリカでは多くの黒人が亡くなっても注目されません。
国内の報道ですら、存在が脅かされている
――この現状をどう変えたらいいでしょうか。方法は見えていますか。
すごく難しい質問です。そして今後はますます、解決が難しくなっていくでしょう。残念ながら、この場での具体的な提言は無理ですね。報道のビジネスモデル自体が崩れているからです。
同時に若者のニュース離れです。SNSが発達する以前から、ネットの世界では「ニュースはタダで見るものだ」という考えが社会に定着してしまい、報道のビジネスモデルは崩れていきました。国際報道どころか、普通の真面目な国内のストレートニュースですら消えていっているじゃないですか。日本の真面目な政治的な報道でさえ、存在が脅かされているじゃないですか。
そんな状態では、国際報道どころではないでしょう。そして、そうした環境下でグローバル化に拍車がかかっているわけです。国際ニュースの量的な乏しさ、質的・地理的な偏りは、本当はますます日本の重要課題になっているはずなんですが・……。
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