「1時間超の昼寝は死亡リスク3割上昇」の衝撃事実 大人に昼寝は本来不要、夜寝の質向上が重要
この研究で特に注目したいのは、「なぜ1時間も昼寝をしてしまうのか」という点です。「寝る子は育つ」ということわざがあり、保育園ではお昼寝の時間が設けられていることからもわかるとおり、子どもにとって昼寝は必要です。子どもは体が大きく成長するためにエネルギーをガンガン使うので、夜だけではなく昼にも寝て、体が休んでいる間にセーブしたエネルギーを成長のために使うのは、理にかなっています。
しかし、もう十分に体が大きくなっている大人は、夜間の睡眠だけで十分。昼寝は基本的に必要ありません。無駄にダラダラと長く昼寝をしてしまう最大の理由は、夜間の睡眠の質が低く、夜にちゃんと眠れていない可能性が高いです。
睡眠の質が低いと、人並みに睡眠時間をとっていても体の疲れが抜けず、日中に眠気が押し寄せて昼寝をしてしまう。長く昼寝をすると、夜になっても眠くならず、体のリズムも乱れて、さらに睡眠の質が落ちてしまう――。長く昼寝をする人は、こうした悪循環に陥っているケースが多いのではないかと予想できます。
つまり、長く昼寝をしてしまう根本的な原因を夜間の睡眠の質の低下と捉えると、質のよい睡眠をとれていないために、睡眠中に行われるべき心身の休息や体のメンテナンスがきちんと行われず、健康面でもいろいろな弊害が生じる。その結果、心疾患リスクや全死亡リスクも上昇する、と読み解くこともできるわけです。
良好な睡眠を得るための5つの習慣
では、睡眠の質を上げるには、どうすればよいのか。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、良好な睡眠を得るための5つの習慣を推奨しています。僕も大いに共感できることばかりなので、解説を加えながら紹介しておきましょう。
毎日の就寝・起床時間がまちまちな生活を送っていては、睡眠リズムが乱れ、睡眠の質も低下します。日勤と夜勤をくり返すシフト勤務の人はしかたがありませんが、就寝と起床の時間をきちんと決め、毎日それを守ることが大切。
睡眠リズムを安定させるには、同じ時刻に起きることが特に重要です。夜ふかしをした翌朝も、昼まで寝ていても平気な休日も、極力いつもと同じ時刻に起きること。眠ければ、その夜は早めに寝て帳尻を合わせればいいのです。シフト勤務の人も、夜勤明けはすぐに寝てしまわず、日中も普段どおりに過ごし、眠くても短時間の仮眠にとどめておくと、夜の睡眠への影響が少なくてすみます。
睡眠と覚醒のリズムを調節する脳内物質の代表格が、脳の松果体と呼ばれる部分から分泌されるメラトニンというホルモンです。朝起きて光を浴びるとメラトニンの分泌がストップし、体は活動モードに切り替わります。
そして、朝の光を浴びてから14~16時間ほどたって周囲が暗くなると、再び脳内でメラトニンの分泌が始まり、眠気を覚えます。つまり、朝シャキッと目覚めるには起きたらまず寝室のカーテンを開け、自然光を浴びるのが効果的なのです。
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