こんなに「日本企業がケチになった」根本的な原因 「賃上げ」も「設備投資」もしなければ縮小は必然
アメリカは日本以上に海外直接投資を増やしながらも、国内の設備投資額は、1990年から2018年の間に3.4倍も増えています。金額にして310兆円の増加です。これに対して、日本は逆に15%も減っています。
直近の15年間、日本の海外直接投資は平均して13兆円でしたが、これはアメリカの海外直接投資33兆円の39.5%にしか相当しませんので、十分な説明要因にはなりません。
ちなみに、日本の対外直接投資は大半が生産性の高い製造業が多いと言われますが、実は直近の15年間のデータ(JETRO)では、非製造業が最も多い57.4%を占めています。日本の対外直接投資は主に金融・保険業(19.4%)、卸売・小売業(13.1%)、化学・医療(9.2%)などの大企業が中心です。
それより重要なポイントがあります。生産性を最も大きく改善させる資本の深化です。国民1人当たりの設備投資を見ると、アメリカは2.6倍も増えていますが、日本は労働参加率が上がったにもかかわらず、17%も減っています。この大きな差を、一部の企業のたかだか13兆円の対外直接投資で説明することはできません。
産業構造の変化も影響
人口が高齢化すると、経済の中でのサービス業の比重が高まります。サービス業は、製造業に比べて労働集約型になりがちなので、設備投資の対GDP比率を下げる傾向にあります。特に日本のように、人材を安く調達できればできるほど、設備投資に悪影響が出やすいことが確認されています。
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