この第4欲求を実現することは容易ではなく、「大きな壁」として親の前に立ちはだかり苦悩する人もいます。
皮肉なことに、第4欲求を何度も推し進めた結果、無理であることがわかり、後々「諦め」の境地に入ったときに苦悩が解消されたという人もいました。
(「理想の枠」を持つこと自体が悪いというのではなく、その枠に無理やり入れようとすると問題が起こるという意味です)
このモデルは、親視点ではなく、子ども視点での欲求であるという点に特徴があります。
(第3欲求)子どものいい部分を伸ばしてあげたい欲求
子どもの短所は「徐々に教えることで変わっていけばいい」と気長に構え、どちらかと言うと子どものやりたいことや長所をぐんぐん伸ばしてあげたいと考えます。このような欲求を持つ親は、子どもを「監視」するよりも、「観察」する傾向があり、観察していると短所よりも長所が見えるようになるようです。
(第4欲求)子どもの人生を尊重したい欲求
子どもには子どもの人生があり、親の人生とは異なることを自覚し、子どもの人生やあり方を尊重したいという気持ちのことです。子どもを親の“所有物”とは思わず、子どもも一人格、一個性をもつ重要な人間であると考えています。
「比較対象の違い」がルートの決め手
以上のように、いずれのモデルも第2欲求までは同じ道をたどっていますが、第3欲求からルートが2つに分かれていきます。では、この分岐点は何が決め手となっているのでしょうか?
筆者は「比較対象の違い」にあると考えています。
「苦悩モデル」では、「ほかとの比較」をしています。つまり、ほかの子どもとの比較、同年齢の平均データとの比較、周囲の環境と比較をすることで、ほかを基準にして自分の子どもを相対的に見ています。あえて表現すれば子どもを「相対評価」しているともいえます。
「安心モデル」では、「その子の中での比較」をしています。つまり、子どものもつさまざまな才能、能力や特徴の中から、それらを比較し、その子のもつ優位性が高い部分を伸ばしていくことに焦点が当てられています。こちらは子どもを「絶対評価」していると言ってもいいでしょう。
このように、同じ比較でも何と比較をするかで大きく道が2つに分かれていくようです。いずれの道がよい、悪いという問題ではなく、どちらの道を選択していくかという問題になると思います。
長沼さんが置かれている現状についての判断で、少しでも参考になりましたら幸いです。
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