苦境続くタクシー業界「配車アプリ」は救世主か コロナ禍で利用増、最大手トップが語る今後

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そこに第2弾のコロナショックが起こった。売り上げが減少したことにより、(その分をカバーしようと)アプリに対応した車両の導入台数が伸びていきました。とくにこれまでタクシーを利用しなかった層が、アプリをきっかけに流れてきている点はポジティブサプライズでもあった。

この層を伸ばしていければタクシー業界全体の底上げにもつながり、そこはわれわれの使命としても重要度を高く位置づけています。

――アプリ会社がタクシー業界の売り上げを奪うのではなく補助していく役割を果たす、と。

そうですね。そうあるために、さまざまな角度からトライアルを行っています。例えば(出前館と提携する)フードデリバリーなどの人を運ぶ以外の事業もそう。より効率化するためにITと結びつけるなど、DX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みが遅かっただけに、まだまだできることは残されていると思っています。

――実際にどのような方法で提携台数を増やしていったのですか。

初めてアプリを提案する際、導入する際は、アプリなんて、と難色を示されることも多かった。それが去年の緊急事態宣言から、「アプリがあって助かった」という声をいただくことが増えてきました。乗務員さんはスマホではなくガラケーを使用されている方も多く、「アプリとは何か」というところからのスタートです。

乗務員さんや会社の数も多いこともあり、営業担当は根気強く足を運び、乗務員の方はもちろん、運行管理の方々にも機械操作のオリエンテーション、営業所へのデモ機設置、タブレットのタッチ方法といったところまで細かいフォロー体制を敷いてきました。業界の気質的に何より大切なのは、どんな些細なことでも人を使って足を運び、根気強くサポートを続けるという姿勢だと感じています。

カギになるのは相乗りと自動運転

――配車アプリは今後、どう進化していくのでしょうか。

タクシー産業全体という視点でみると、コロナ前のような水準に戻らない可能性も高い。今の日本において、タクシーのヘビーユーザーはごく一部なんですね。月に何回かタクシーに乗るような人は実はとても少ない。ほとんどの人が乗らないか、半年に1回とかの頻度が一般的です。

仮に8割の水準までしか戻らないとすれば、もはやタクシーというものの概念を拡張していかないといけないし、それは単体ではできない。裾野を広げようとするなら、タクシーをいくら便利にしても広がっていきません。それを考えると「相乗り」と近い将来の「タクシーの自動運転化」はキーファクターになってくる。

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