ハリウッドの名優らが示す「映画の笑い」の神髄 「カムバック・トゥ・ハリウッド」のコメディー度
そんなあるとき、ギャロ監督はとある場所で開催された『ミッドナイト・ラン』の上映会で、ジョイ・ハーウィッツというひとりの女性と出会う。実は彼女こそが『The Comeback Trail(原題)』を手がけた亡きハリー・ハーウィッツ監督の夫人で、同作の権利を所持している人物だった。二人はその日のうちに意気投合し、晴れて本プロジェクトが始動することとなった。
そのプロジェクトにロバート・デ・ニーロが参加することとなったわけだが、まさに映画の神様が引き合わせたような、運命のようなものを感じさせる。ギャロ監督は「この映画を作ることは素晴らしい経験だった。それがわかるのは、本作に関わったすべての者たちがいまでも連絡を取り合っているからだ。私はこの映画が単純に人々を笑わせることを願う。現在の私たちは暗く不確かな時代にいる。笑いというのはいいものだ」と振り返る。
エンディングのおまけ映像にも注目
本編には、『サイコ』『サンセット大通り』『死の接吻』『明日に向って撃て!』など数々のクラシック映画に関しての小ネタが無数にちりばめられているのも楽しい。そもそもトミー・リー・ジョーンズ演じるデュークという名前は、往年の映画スター、ジョン・ウェインの愛称であり、劇中には、ジョン・ウェインと名コンビを組んだジョン・フォード監督の映画を彷彿とさせるような西部劇の色合いも楽しめる。
とはいえ本作は肩の力の抜けたコメディー映画なので、もちろんそれらのネタを知らなくても映画を楽しめることは言うまでもない。なお、エンドクレジット中にも映画愛あふれるおまけ映像が流れるので、途中で席を立たないようにしてほしい。
主人公マックスがやっていることは決して許されるものではないが、デ・ニーロが演じるとどこか憎めないところもある。そしてそんなマックスの思惑に反して、トミー・リー・ジョーンズ演じる往年の西部劇スター、デュークが撮影を通じて、どんどんと映画スターとしての輝きを取り戻していくさまが痛快だ。
さらにモーガン・フリーマンが、マックスに映画制作の資金を貸し付けるギャングのボス、レジーを演じているが、極悪非道でありながらも根っこは映画マニアであるという設定がまたいい。この3人の名優たちが実に楽しそうで、肩の力を抜いて気軽に観られるコメディーに仕上がっている。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら