FRBのノイズになるイエレン財務長官の言動 前議長の隠然たる影響力、避けたい「院政」状態

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実際のところ、「テーパリング実施の条件がそろうまでに相応の時間(some time)を要する」というパウエルFRB議長の最近の発言よりも、上述のイエレン長官の発言のほうが市場関係者の腹に落ちるという困った現状もある。

ブレイクイーブンインフレ率(BEI)で見たインフレ期待は再び加速を始めており10年物BEIは2.50%弱と約8年ぶりの高水準をつけている。従前の動きに倣えば、これに1~2カ月遅れる格好で名目金利も上がってくる可能性がある。

昨年11月以降、10年物BEIは上昇傾向にあったが、本格的に名目10年金利が追随し始めたのは年明けだった。2月にBEIの上昇は止まったものの、名目金利は急騰した。インフレ期待に名目金利が追随するのはフィッシャー方程式<名目金利=実質金利+期待インフレ率>で想定されるとおりでもある。もちろん、BEIの水準自体がどれほど信頼に足るものかという点について議論の余地があることは承知しているが、ここでは深入りしない。名目の計数が期待のそれに追随したという事実に注目しておきたい。

アメリカの名目金利上昇、ドル高局面へ

しかし、2月に上昇が止まったBEIは3月以降、今度は名目10年金利のピークアウトを横目に再び上昇を続けている。このペースで行けば、夏場の3%到達も視野に入る。市場参加者の注目が名目10年金利の低下に傾斜する傍らで、インフレ期待は着実に切り上がっている。今回も1~2カ月のラグを伴って名目10年金利が上昇してくるのとすれば、5~6月が名目金利およびドルの上昇局面になるかどうかが焦点になる。

バイデン大統領が節目として繰り返し持ち出す7月4日の独立記念日までワクチン接種に伴い行動制限の解除が順次進むのだとすれば、4月の中休みを経て、5~6月に第2次金利上昇・ドル高局面となるような展開はいかにもありそうである。

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