「株高・債券高・ドル安」が当面の基調となる必然 視界不良の中、決定的なエッセンスを見極める
足元では金融市場はアメリカの製薬大手ファイザーが発表した新型コロナウイルスのワクチンの治験結果を好感して、アメリカでは株高・金利高(債券安)・ドル高の地合いが続いている。もはや「アメリカ大統領の交代」という最大級の材料ですらかすんでいる。「史上最大のグレートローテーション」とリスク資産買いをあおる機運が支配している。
しかし、アメリカ大統領選挙の解釈が定まらないところに、待望のワクチン完成報道が重なったことで、「主要資産市場の値動きをどのように解釈すべきか」という論点がかなり散らかった状態になっており、先行きの視界不良を感じる市場参加者は多いだろう。そこで論点を整理してみたい。
大きな流れは「株高・債券高(金利低下)・ドル安」
結論から言えば、アメリカ大統領選挙およびワクチン報道を勘案したとしても、大統領選挙前のトレンドであった「株高・債券高(金利低下)・ドル安」という値動きが1つの大きなが流れとしてあると考えたい。
というのも、相場を見通すうえでの本質的な論点(エッセンス)は過去数カ月でさほど変わっていない。もちろん、ワクチン開発が本当に奏功すればゲームチェンジャーになることは間違いないが、まだよくわからないものを織り込むわけにはいかない。ここは黙って吉報を待ち、本当にゲームチェンジャーになって流れが変われば、素直に喜ぶくらいの姿勢でよいだろう。
では大統領選挙はどうか。これも相場の流れを一変させるような材料にはならなかったと考える。トランプ大統領はまだ敗北を受け入れておらず票の再集計が行われている最中だが、金融市場はアフタートランプを見据えている。「バイデン候補が勝利するが、これをトランプ大統領が認めず、結果確定が遅延する」というのは「醜悪だが想定されたシナリオ」でもあり、金融市場として狼狽するほどの話ではない。主要3市場(株、為替、債券)のリアクションからも悲観ムードはまったく感じられず、総じて「株高・債券高(金利低下)・ドル安」の流れが大勢となった。
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