「株高・債券高・ドル安」が当面の基調となる必然 視界不良の中、決定的なエッセンスを見極める

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金融市場はもしウォーレン氏なら金融機関への規制が厳しくなることを恐れている(写真:REUTERS/Brian Snyder)

ウォール街はブレイナードなら歓迎

片や、ウォーレン議員が反ウォール街の旗手という立ち位置にあることは周知の通りである。ブレイナード理事は為替相場に関連して日本にとっては警戒すべき人選になるが、ウォーレン議員は金融規制強化などをもたらす「金融市場全体にとって最悪の人選」という解釈が大勢である。こうした株安をもたらす人選になるとすれば、やはり円高を招来する材料になる。

人事は水物であり予想してもせんなき事である。トランプ政権の株価至上主義を批判してきた経緯から、バイデン次期大統領は民主党左派へ配慮せざるをえず、ウォーレン上院議員指名の可能性は低くないとも言われている。この場合、金融規制に限らず、経済政策全体が左傾化するリスクがあるため、財政赤字は膨張、「ドルの過剰感」は強まる話になる。その点からも円高リスクであろう。

一方、勝利演説で分断ではなく団結を強調した以上、あからさまに挑発的な人選も控えられるとの期待もある。ブレイナード理事は日本にとってはうれしくない人選でもウォール街に象徴される金融市場にとっては歓迎されるとの下馬評であり、財務次官出身(でかつ女性)という経験も勘案すればベストな人選にも思われる。いずれにせよ、円高を恐れる日本にとってはバイデン次期大統領誕生に並んで重要な政治材料と考えて差し支えないだろう。
 

唐鎌 大輔 みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト

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からかま・だいすけ / Daisuke Karakama

2004年慶応義塾大学経済学部卒。JETRO、日本経済研究センター、欧州委員会経済金融総局(ベルギー)を経て2008年よりみずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)。著書に『弱い円の正体 仮面の黒字国・日本』(日経BP社、2024年7月)、『「強い円」はどこへ行ったのか』(日経BP社、2022年9月)、『アフター・メルケル 「最強」の次にあるもの』(日経BP社、2021年12月)、『ECB 欧州中央銀行: 組織、戦略から銀行監督まで』(東洋経済新報社、2017年11月)、『欧州リスク: 日本化・円化・日銀化』(東洋経済新報社、2014年7月)、など。TV出演:テレビ東京『モーニングサテライト』など。note「唐鎌Labo」にて今、最も重要と考えるテーマを情報発信中。

※東洋経済オンラインのコラムはあくまでも筆者の見解であり、所属組織とは無関係です。

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