「株高・債券高・ドル安」が当面の基調となる必然 視界不良の中、決定的なエッセンスを見極める
金利低下はどうか。この点は多くの解説を要さないだろう。
FRB(連邦準備制度理事会)は2023年末までゼロ金利維持で意見集約しており、利上げはインフレ率が「平均2%」になるのを確認してからだ。であれば、利上げは最速でも2024年後半だろう。大統領が誰であろうと金利の上離れを懸念する必要はない。民主党としてコロナ禍を乗り越えるべく財政政策を緩和したいならば、意図せざる金利上昇で実体経済を痛めつけないためにも金融政策で金利を抑制する必要がある。この時点で株高・金利低下は既定路線となる。
為替市場の読みはつねに難しいが、「ドルの過剰感」をテーマにしたドル全面安という読み筋は6月以降、かなりしっかりと機能している。コロナ禍が収まっていない以上、バイデン政権が景気減速を恐れることなく公約どおりに増税を敢行することはできないだろう。結局、拡張財政路線が前面に押し出され、「ドルの過剰感」は放置されるはずだ。第2次世界大戦直後に匹敵するGDP比30%の財政赤字はドル安を招く材料として十分だ。
まとめると「低金利状態が極まったゆえの株買い、今後3年は動かないゼロ金利、巨額の財政赤字を背景とする『ドルの過剰感』」というエッセンスは見通しの起点であり、これらのエッセンスが働く時間帯がまだまだ続くと考えられる。
金利上昇でもドルは大して買われず
実際の値動きを見ても、そうしたエッセンスから解釈するとわかりやすい。例えばドル円相場は今回のワクチン期待相場にあっても1ドル=105.60円台までしか値を上げることができなかった。また、ユーロドル相場に至っては1ユーロ=1.19ドル付近から1.18ドル付近へ売られただけで、底値の固さを確認した格好になった。ドルは大して買われなかったという整理で良いだろう。
バイデン候補優勢が伝えられて以降、アメリカの金利は一方的に上昇し、日本やドイツとの金利差が緩やかに拡大しているが、これに応じてドルが買われることはなかった。理由はさまざまあろうが、「しょせん、アメリカ金利の継続的な上昇をFRBは容認しない」という事実は衆目の一致するところであり、「金利先高観もないのにわざわざドル買いでついていく必要はない」という思惑がそうとう効いているのではないか。もちろん、巨額の財政出動は止められないから「ドルの過剰感」が重しになる、との思惑もある。
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