企画が通らない人のひどく残念な時間の使い方 「熱い思い」以上に人の心をつかむ武器はない

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たった1人の人に刺さる企画を考えてみましょう(写真:shimi /PIXTA)
「企画が全然通らない」「上司が聞く耳を持たない」という若いビジネスパーソンの愚痴をよく聞きます。企画が通らない人が陥りがちな時間の使い方を見直し、企画が通るようになる考え方の基本とは?
『anan』元編集長、能勢邦子氏の著書『なぜか惹かれる言葉のつくりかた』の内容を一部抜粋、再編集してお届けします。

上司だけを見てプレゼンしていないか?

企画が通らないと嘆く人が陥りがちなのは、企画を通すために、いつのまにか上司だけを見たプレゼンになってしまうことです。上司の顔色を伺いながら何度も練り直すうちに、企画が骨抜きになったり、企画への「熱い思い」が薄れてしまったりといったことは、よく起こります。

企画は、因数分解すると「コンテンツをつくる」と「コンテンツを見せる」になります。通すためだけに何度も練り直すのは後者、つまり上司にどう見せるかの努力です。そうではなくコンテンツづくりから見直すことのほうが、企画が通らないという泥沼から抜け出す近道なのです。

通らなかった企画のコンテンツを今一度見直してみましょう。なぜ通らなかったのか。差別化が甘いのか。ニーズがないのか。

「このコンテンツのいちばんの売りは何?」

「誰が使う?いつ?どこで?なぜ?どんなふうに?」

と5W1Hの自問自答を繰り返し、コンテンツ自体をブラッシュアップします。

例えば、カレー好きでカレーに「熱い思い」を持つ人が筋トレ雑誌の企画で「カレーの美味しい店特集」を出したとします。自分が訪ねたカレーの名店リストを写真付きで徹夜で資料にまとめたとしても、まず通らない企画だと思いませんか。

でも、諦めずに考えます。この場合のコンテンツはカレーです。そもそも自分はなぜカレーが好きなのか。カレーの魅力は何なのか。カレーのウンチクの何を伝えたいのか。カレーはいつどこで誰が食べるのか。筋トレが好きな人だってカレーを食べたいんじゃないのか。カレーは筋トレにいいのか。

プロジェクトが走り出すと忘れがちですが、立ち返るべきはつねにコンテンツそのものです。このコンテンツの売りは何だったか。何に惹かれて「熱い思い」を持ったのか。企画が通らないときこそ、なおさらそこに立ち返るべきです。

コンテンツの売りを確認し、売りに対する「熱い思い」を確固たるものにしたら、次はユーザーに向き合います。最も重要なのはユーザーです。上司ではありません。これはコンテンツづくりの大切な部分でもあります。まだコンテンツの見せ方を考える段階ではありません。

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