企画が通らない人のひどく残念な時間の使い方 「熱い思い」以上に人の心をつかむ武器はない

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筋トレ雑誌で取り上げたい、カレーというコンテンツに立ち返り、そのいちばんの売りは「カレーの薬用効果だ、だから筋トレ好きな読者にも勧めたいんだ」と「熱い思い」を明確にしたとします。そしてユーザー、つまり筋トレ雑誌の読者に向き合います。

ユーザーに向き合うときに大切なことは、明確にした「熱い思い」をいったん脇に置くことです。筋トレ雑誌の読者にいきなりカレーの薬用効果を語り始めても見向きもされないでしょう。「熱い思い」をそのまま語ってもユーザーにとってはウザいだけ。ユーザーが求めるものは何か、思わず買いたくなるにはどうしたらいいか、ユーザーの生活をイメージしながら、ユーザーの立場で考えてみます。

n=1のリサーチでユーザーの気持ちを見極める

ユーザーに向き合うにはコツがあります。それは、n=1といわれるリサーチです。nは母数で、n=1万のリサーチは1万人に調査したデータのこと。n=1は1人にリサーチをすることです。つまりコンテンツを使ってほしいユーザーを1人選び、その人の深層心理やニュアンスまで調査するのです。

調査といっても「こんなサービスがあったら使いたいですか」「このコンテンツについてどう思いますか」と直接的に聞くばかりではありません。むしろ普段から困っていることを雑談の中から引き出したり、何日かかけて観察したりしながら、その人のニーズや望みを見つけることのほうが有意義なリサーチです。ちょっとした取材力が必要ですが、恋愛になぞらえるといいでしょう。

好きな人に「誕生日に何が欲しいですか」「どうしたら付き合ってもらえますか」と直接的に聞くより、本当に相手が欲しいものを探り当てたほうが、うまくいきやすいはずです。「映画は好き?」「これ、かわいいと思わない?」と何気なくリサーチして欲しいものを見極め、相手が話すエピソードを聞き逃さず、何を見てどう感じる人なのか感覚として捉えていきます。こうして本人さえ気づいていない潜在的な欲望に応えられたら、その恋愛が成就する可能性は一気に上がるでしょう。

筋トレ雑誌でカレーの企画を通したければ、読者である筋トレマニアのnとカレーの話をします。イチローが朝カレーを食べていたことから始まり「カレーに筋肉に効く成分があったらいいね」というニーズや、「炭水化物が多くなっちゃいそうで……」という悩み、「カレーライスとライスカレーと何が違うんだ?」という疑問など、すべての雑談にヒントがあるはずです。

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