――AICEを立ち上げるに至った経緯は。
何年か前からこのような危機感について業界内で意見交換をしていた。2年前に自動車の主要学会である自動車技術会で、産学でのエンジン共同研究に関する検討組織を立ち上げていた。AICEはそれを発展させたものだ。
――今後の取り組みで何が重要になってくるのか。
AICEを成功させるために重要なことは、メーカーがどれだけ本気になれるかだ。研究のためには大学にメーカーからも研究者を送り込む。先端的な研究に取り組むだけに、メーカー自身が手放したくない人材をあえて送り込まなければならない。
”出し惜しみ”は成果を生まない
研究テーマごとに人材はすでにリストアップしている。詳細なテーマを決めているディーゼルエンジン関連だけでも研究課題・研究委託大学の数は多く、かなりの人数に上る。ガソリンエンジンやさらに次のテーマを考えれば、人的・資金的な負担はさらに大きくなり、メーカーには覚悟が必要だ。
もう一つはどれだけお互いにオープンに協力し合えるかだ。各社から「困りごと」をヒアリングし、共通で取り組むべき課題を研究テーマに設定している。とはいえ、各テーマに対するメーカーごとの研究レベルには多少の差があり、”持ち出し”になるメーカーも出てくる。そうした時、これまでの知識を隠したり、出し惜しみしていたら全体としてよい成果は期待できない。活動は始まったばかりだが、今後5年をメドに産学連携の共同基礎研究の仕組みを確立していきたい。
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まるやま たかふみ / Takafumi Maruyama
個人向け株式投資雑誌『会社四季報プロ500』編集長。『週刊東洋経済』編集部、「東洋経済オンライン」編集長、通信、自動車業界担当などを経て現職
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