目利き力が磨かれる「アートの題名」4択クイズ アート思考とイノベーションの関係
それにしても、なぜ作者はわざわざ題名をつけるのでしょうか?
アート作品は感覚だけで味わうものだ、という主張もよく聞きます。しかしもしそうなら、題名なんてなくてもいいはずです。
もちろん、区別するためには名前があったほうが便利です。しかしそれだけの理由なら、すべてのアートが『ミロのヴィーナス』みたいにシンプルな名前でもいいはずです(なんなら「ピカソ1号」とか「ピカソ2号」とかでも)。
作者がわざわざ自分で作品に凝った題名をつけるときには、それ以上の意味が込められています。
親が生まれてくる子どもに名前をつけるときも、さまざまな名前を考えては悩み、「こんなふうに育ってほしい」という思いを込め、日本では画数や漢字の意味まで吟味して名前を決めますが、同じように、題名には作者の思いやメッセージが込められることが多いのです。その意味で題名は、作品を見るための「ヒント」になるものです。
「題名」で作品の印象は大きく変わる
また、「題名」というのは不思議な力を持っています。同じ作品でも、題名を変えると、まったく違った作品に見えてくるのです。
たとえば今回のワークで題名を選ぶとき、別のタイトルをつけてみると、作品の印象が随分変わりませんでしたか?
題名は作品の体験を変えうるものであり、かつ作者自らわざわざ考えてつけたものですから、題名もまた作品の一部だ、と言うこともできます。そしてこの考え方からすると、題名がつけられてはじめて作品が完成する、とすら言えるかもしれません。
世紀を代表する現代美術家のマルセル・デュシャンは、「わたしはいつもタイトルに重要な役割を与えてきた。目に見えない絵具のようにタイトルをつけ加え扱った」と言っています。
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