サムスン会長の遺産は2兆円!6割を社会還元へ 株式は遺族で分割、医療分野への寄付金も巨額

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李会長の遺族らは、コロナ禍対策に7000億ウォン(約685億円)を寄付することになった。このうち5000億ウォン(約490億円)は韓国最初の感染症専門病院である「中央感染症専門病院」の建設に使われる予定だ。2000億ウォン(約195億円)は韓国・疾病管理庁傘下の国立感染症研究所で行われるワクチン・治療薬開発支援などに使われることになる。

また小児がんや希少疾病にかかっているにもかかわらず、高額な治療費のために適切な治療を受けられない子どもたちのために、3000億ウォン(約294億円)を支援する計画だ。今後10年間、小児がん患者約1万2000人、希少疾病患者約5000人など計1万7000人の支援に使われることになる。

医療分野に約685億円を寄付、美術品も国家へ寄贈

「李健煕コレクション」と称されてきた李会長所有の美術品約2万3000点は、美術館や博物館などに寄付され、中でもとくに貴重なコレクションは国立博物館に寄贈されることになった。国宝14件など46点の指定文化財だけでも60点ある。

今回の社会還元について「前例のない大規模なもの」と評価する声がある一方で、美術品の寄付などは高額な相続税を下げるためではないかといぶかしむ声も出ている。李会長は生前、不正資金疑惑などのスキャンダルを起こしたことがあり、その問題沈静化のために社会還元を約束したことがある。これが、「今になってようやく実行されるのか」という反応さえあるほどだ。

財界関係者は「李会長の財産はグループ会社の株式19兆ウォン以外にも、不動産や美術品など20兆ウォン以上になるだろう。値段をつけられない文化財まで国立の機関に寄贈することにしたことを考えると、一生をかけて稼いで積み上げた財産の60%以上を社会に残して亡くなったことになる」と言う。
(韓国「ソウル新聞」2021年4月28日)

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