日本経済には36兆円もの「埋蔵金」が眠っている 「アフターコロナ」はやっぱり大きなチャンスだ

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これらを合算すると、2020年の可処分所得は316.2兆円となる。前年より11兆円も増えているのは、給付金の額とほぼ見合っている。一方で、このうち家計最終消費支出に回ったのは、前年比18兆円も少ない280.5兆円であり、結果として通年で35.8兆円の貯蓄が残った計算となる。年間の貯蓄率は11.3%(前年は2.3%)であった。

個々の家計が貯蓄に励むのは、普通は何か目的があってのことであろう。しかるに昨年、家計部門に残った約36兆円(その3分の1は給付金の効果)は、「意図せざる貯蓄」とみることができる。つまり日本経済には、巨大な「ペントアップ(積み上がった)需要のマグマ」が蓄えられていることになる。アフターコロナの時代が到来した場合、この貯蓄はこれまで我慢していた消費、外食やエンタメや観光など、「対面のサービス業」にどっと向かうのではないだろうか。

「36兆円の貯蓄」は日本経済にとって隠れたチャンス

実を言うと「日常の消費が減った分だけ貯蓄が増える」というのは海外でも起きている現象である。ところがアメリカなどはもともと消費性向が高いので、旺盛な「巣ごもり消費」が世界的なコンテナ不足を招いている、という話は以前にご紹介した通り(3月13日付「ばらまきバイデン政権の裏で起きる意外なこと」) 。給付金の一部が、「ロビンフッダー」と呼ばれる素人の株式投資に化けている、というのもつとに有名だ。

また、世界的にはコロナ下で不動産投資も活発化している。都心から郊外に移動する人が増えていて、多くの都市で郊外の地価が上昇するという現象がみられる。外出が減って家で過ごす時間が延びたし、在宅勤務が増えて出勤の頻度も減っているのだから、これは自然な動きと考えられよう。

日本の場合も、昨年7月以降は東京23区の人口は減少に転じている。その分は多摩地区や神奈川、千葉、埼玉県などに流れていて、この流れは当分、続きそうである。しかるに少子と高齢化のせいもあってか、不動産価格が上昇しているという話はあまり聞こえてこない。

日本の場合は巣ごもり消費と言っても、せいぜい「ふるさと納税」が増えるとか、クラウドファンディングが予想外に集まるといった程度で、とにかく消費は凍りついてしまっている。しかるにお金がないわけではないのである。コロナの呪縛が解き放たれた後には、相当な消費ブームがあってもおかしくない。

とりあえず昨年の「意図せざる36兆円の貯蓄」を、どうすれば消費に向かわせることができるのか。日本経済には大きなチャンスが隠れていると言っておこう(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。

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