以下の数字をご覧あれ。なぜ世間が大騒ぎしないのか、たぶん気づいている人が少ないからじゃないだろうか。
コロナ感染拡大で家計部門には「相当な蓄え」
2019年
1- 3月 1.2%
4- 6月 1.5%
7- 9月 1.2%
10-12月 4.5%
2020年
1- 3月 5.7%
4- 6月 21.8%
7- 9月 11.3%
10-12月 6.1%
日本は貯蓄率が高い国、と言われたのは昔のこと。近年はだいたい3%以下、ときにはマイナスで推移している。2019年の10-12月期が4.5%と高めになったのは、折からの消費税増税で個人消費が委縮したからだろう。しかし2020年の貯蓄率は、コロナ感染の拡大によってさらに跳ね上がる。
特に昨年4-6月期は20%を超えている。初めての緊急事態宣言で皆が家に閉じこもっていた時期に、個人消費が冷え込んだことは想像にかたくない。ここから何が分かるかと言うと、現在の家計部門には相当なキャッシュが蓄えられているということだ。
まず、2020年(暦年)には282.5兆円の雇用者報酬(賃金)が支払われている。前年の実績は286.9兆円なので、コロナによる支払い減少は思ったほど大きくなかった。
これに「営業余剰・混合利得」や「財産所得」などを合算する。さらに「所得・富等に課される経常税」や「純社会負担」などを引くのであるが、これらの数字は2019年実績とほとんど変わっていない。1カ所だけ「その他の経常移転」という項目があり、ここだけは前年の▲1.9兆円からいきなり12.0兆円のプラスと大きく変化している。察するところ、この正体は昨年行われた「1人10万円の給付金」であろう。
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