日本経済には36兆円もの「埋蔵金」が眠っている 「アフターコロナ」はやっぱり大きなチャンスだ

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一時はコロナ対策が称賛されていたドイツのアンゲラ・メルケル首相の人気が今はガタ落ちで、9月の総選挙後は緑の党がドイツの第1党になるかもしれない、などと言われている。コロナは政治家や政党を使い捨てにしてしまうのだ。

その一方で、今は「データドリブン政治」を鍛える絶好の機会という見方もできる。こんなに短期で政治の結果が出ることは滅多にないからだ。今であれば官邸にデータ分析のAI機能を設置して、政策の立案、実行、評価を短時間に行い、それをフィードバックするという実験が可能になる。これから先の1~2年は、コロナのお陰で「データドリブン政治」を試すチャンスということになる。

正確に言えば、当面は試行錯誤が多くなるはずなので、「データドリブン」の実験はコロナ対策では成果を発揮できないかもしれない。しかし政府がリアルタイムでデータ使用の成功と失敗体験を積み重ねていくと、のちのち強力な武器となるはずだ。それこそ「絶対に選挙に負けない政治」が可能になるかもしれないのである。

「分配」で国民の所得はどうなったのか?

さて、データを上手に使うと言っても、エコノミストが使えるのは今まで通り、非常に遅いペースで伝えられる既存の経済統計しかない。それでも若干の進化はあるもので、昨年から内閣府は家計可処分所得・家計貯蓄率四半期別速報を公表するようになった 。これは画期的なことではないかと思う。

GDP(国内総生産)は、国内で生み出される付加価値の総量なので、これは国内総所得(分配)や国内総支出(需要)と事後的には等しくなる。これを「三面等価の原則」と呼ぶわけであるが、日本で公表されるGDPは、家計消費や設備投資、政府支出に輸出入といった「支出」面の統計がもっぱらであった。しかし「生産」や「分配」面も知りたいではないか、特に「分配」で国民の所得がどんな風になっているかは、経済政策を考えるうえで重要ではないか、との要望は以前からあった。

その分配面の統計を、昨年から試験的に内閣府が公表するようになった。その結果、コロナ下の家計貯蓄率が異常な動きを示していることが判明したのである。

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