「ワクチン敗戦国」日本が絶望的に後れる惨状 接種で先行した国は著しく感染数が減っている

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では、日本ではどうか?

先に数字を示したように、ワクチン接種は、残念ながら、絶望的なほど遅れている。

高齢者のワクチン接種が始まったが、いつ予約できるのか不明だ。

一般市民には、16歳以上を対象にして5月末には開始したいというのが政府の方針だが、7月にずれこむ可能性が高くなっている。

それどころではない。自民党の下村政務調査会長は、4月19日に開かれた党の会合で、「残念ながら自治体によっては医療関係者の協力が足らず、65歳以上に限定しても、今年いっぱいか、場合によっては来年までかかるのではないか」と指摘した。

高齢者でも来年になるというのは、誠に由々しき事態だ。

日本は世界から取り残され、孤立する

今年の夏には、イギリスやEU、あるいはオーストラリアは、ワクチンパスポートを導入して、入国者に求める可能性がある。

そうなると、ワクチンの接種が遅れる日本人は、入国できないか、あるいは入国後一定期間の待機等が求められることになるだろう。

日本人の国際活動は大きく制約されることとなり、日本は世界的に孤立してしまう危険がある。

こうした事態に、日本政府はどう対処しようとしているのだろうか?

野口 悠紀雄 一橋大学名誉教授

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のぐち ゆきお / Yukio Noguchi

1940年、東京に生まれる。 1963年、東京大学工学部卒業。 1964年、大蔵省入省。 1972年、エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。 一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、一橋大学名誉教授。専門は日本経済論。『中国が世界を攪乱する』(東洋経済新報社 )、『書くことについて』(角川新書)、『リープフロッグ』逆転勝ちの経済学(文春新書)など著書多数。

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