フジテレビ女子アナを「ステマ」と叩く人の盲点 問題は色々あるが世に曖昧なものは溢れている

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また、「ふざけていると思いませんか? みなさん。悪いことしたらちゃんと罰を受けさせましょう」とあおるように呼びかける人もいて、多くの「そう思う」ボタンが押されていました。

このような利害関係の薄い人に対する懲罰感情を抱くほど、負の感情を体に宿し、そんな自分のことが嫌いになり、ひいては、他人の目を恐れて身動きが取れなくなるなど、人生を停滞させていくもの。女性アナウンサーたちにはフジテレビが就業規則などのもとに対処すればいいのであって、利害関係の薄い彼女たちに懲罰感情を抱くことは、意味のないことどころか、自らの人生を停滞させるマイナスなことなのです。

問われるフジテレビのガバナンス

最後にふれておきたいのは、フジテレビの対応について。報道を受けてからの動きは適切とは思えず、批判される要素があったのは事実でしょう。

実際、「ステマには該当しない」「違法ではない」というコメントだけで済ませるのではなく、「どこにどんな問題があったのか」「女性アナウンサーたちにどんな対処をしていくのか」「今後は何らかの改善をしていくのか」などをもっとスピーディーに公表すべきでした。

それらができずに1週間以上が過ぎてしまうなど明らかに対応が遅く、「続報を恐れて様子を見ている」「リークした犯人捜しをしている」「このまま逃げ切るつもりなのだろう」などと言われても仕方がないでしょう。とりわけ現在の世の中は、前述したように表に出る人を叩く傾向が強いだけに、フジテレビにとっても、女性アナウンサーたちにとっても、ダメージコントロールを考えすぎて後手に回らないほうがいいはずです。

また、もう1つ気になるのは、「7人もの女性アナウンサーがサービスを受け、ネット上にアップされていたにもかかわらず、それが見過ごされ続けてきた」というガバナンスのゆるさ。アナウンス室の問題だけでなく、局全体の規範や指針、管理体制をどう見直し、浸透させていくのか。騒動によるイメージダウンを回復させ、人々の信頼を得るためには、明確に打ち出すほうがいいのではないでしょうか。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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