フジテレビ女子アナを「ステマ」と叩く人の盲点 問題は色々あるが世に曖昧なものは溢れている

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店にしてみれば「番組で宣伝してもらえるから、無料で提供している」のであって、これらも「ステマ」とみなしてやめさせるべきなのでしょうか。あるいは、芸能人やアナウンサーが気に入って自分のSNSで紹介しようと思っても、「これは広告です」と表記しなければいけないのでしょうか。

テレビ番組の中には、「絶対にステマではない」と言い切れないものが多く存在しますが、ただ「その多くは視聴者に不利益を与えるものではない」というレベルにすぎず、目くじらを立てるほどのものではないのです。

一般人も「ステマ」をしている?

「ステマかどうかあいまい」「絶対にステマではないと言い切れない」ものが多いのは、テレビ番組に限りません。

たとえば前述した飲食店やメーカーの取材は、週刊誌やタウン誌などでも同じであり、無料でサービスを受けるのが普通。事実、制作費が少ない媒体は、無料での取材を頼りにしていますし、「何かもらえるのではないか」という期待を抱いている取材者たちもいます。さらに掘り下げると、「広告出稿してくれた会社の商品を特集ページでも優先的に紹介する」ことが当然のように行われています。

つまり、「本当にいい商品」「企画に合う商品」だから特集ページで紹介するのか。それとも、広告出稿が決まったから見返りとして紹介するのか。「あいまいな形で混在しているケースが多い」ということ。テレビも雑誌も商品やサービスを紹介する特集と広告との境界線があいまいであり、またそれが「ビジネス上、卑怯な手法とは言えない」など、ステマの定義は難しいのです。

個人に目を向けても、ステマのあいまいさは同様。たとえば、芸能人がサインや写真に応じたあとに何かのサービスを受け、それが店のSNSで公開されたら、「ステマ」「これくらいは大丈夫」という論争が起きるでしょう。

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