舞浜の「フルーツサンド店」に行列ができるワケ

「パンとエスプレッソと」の職人がレシピ考案

まずは「パンとエスプレッソと」と、商品自体をわかりやすくアピールするものに変更。店舗やロゴのデザインも有名デザイナーに依頼しデザイン性の高いものに切り換えた。パンと言えば素朴でふんわりしたイメージがある。しかし同店のロゴを見ると、それとは反対の、シンプルかつスタイリッシュなデザインである。

株式会社日と々と代表取締役の山本拓三氏。創業当初は赤字が続いたが、自社のパンのおいしさを信じ、パンを主体にしたカフェ業態「パンとエスプレッソと」を立ち上げた(筆者撮影)

「ちょうどSNSが普及し始めた時代で、フェイスブックが多かったがインスタも少数が使っていた。そうした先端を行っている、意識が高い人の間でまず話題になりました」(山本氏)

同時に、移動販売車や百貨店催事への出店でリアルでも知名度を上げた。同店の目玉である「ムー」というパンをひたすら販売したという。

デザイン性の重視は、近年成功を収めている新しいブランドの共通点でもある。山本氏は出身が不動産系列であったことから、早期にその点に着目することができたようだ。

おいしいパン、つまり潜在力の高い商品をブランディングによってうまく訴求できたことが、成功につながったと言える。

印象に残るように店名を工夫

なお、店名についても工夫している。湘南に出店した店舗は「パンとエスプレッソと湘南と」、大阪の店は「パンとエスプレッソと南森町交差点」。普通なら「湘南店」「南森町店」とつけるところだが、あえて商品名と直列に並べた。

裏原宿にあるパンとエスプレッソと1号店は平日昼間でも満席の賑わい(筆者撮影)

まず、文章として意味が通らない。それが違和感を醸し出し、印象に残る。そして、土地の風景、思い出などのさまざまなイメージを想起させる。商品をストレートに伝えながらもぼんやりとしていて、興味を起こさせる店名だ。これがターゲットの「20〜30代の意識高い系女子」に刺さった。

また、浅草の店は目玉商品のムーをアピールしつつも、土地柄に合わせ「むうや」という店名にしている。売り上げが最も高い店舗で、近隣の高齢者などが朝から詰めかけるそうだ。

では、フルーツサンド専門店「フツウニフルウツ」の狙いは何か。

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