舞浜の「フルーツサンド店」に行列ができるワケ 「パンとエスプレッソと」の職人がレシピ考案

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2016年、1号店を中目黒(後に下北沢に移転)にオープン後、鎌倉、大阪に出店し、舞浜で4店舗目となる。フルーツサンド専門店としては比較的早い時期に登場しており、先駆けとしてブームの一端を担ってきた存在とも言えるだろう。

イクスピアリ内のフツウニフルウツ舞浜出張所は、開店と同時に行列ができる。休日には480個が昼過ぎに品切れになってしまうという(筆者撮影)

フルーツサンドと言えばフルーツが主役と思いがちだが、同店の最も大きな特徴はパンにある。フルーツと組み合わせても、パンのしっかりとした味わいと弾力感が感じられる焼き上がり。きめの細かいしっとりした生地はフルーツとよくなじむ。ごく甘さを抑えたクリームが、パンとフルーツの橋渡しという役割を控えめに果たしている。

デザイン性の高い店舗空間も、SNSの時代にあって知名度アップの効果を上げているようだ。また一時期、販売車による移動販売を行っていた時期もあり、メディアに取り上げられたことが宣伝となってもいたようだ。

成功の理由は「パンがおいしかったから」

運営するのは株式会社日と々と(ひとびと)。2009年に立ち上げた「パンとエスプレッソと」が注目され、今ではのれん分けの店舗を含めて23店舗、7ブランドを展開する。成功の理由を、同社代表取締役の山本拓三氏は「パンがおいしかったから」と説明する。

「今でこそ高級パンブームで、加水量が多くバターをふんだんに使った、みずみずしいしっとりした食感のパンが流行っています。でも、お店を立ち上げた2009年頃は私たちが初めてぐらいだったと思います」(山本氏)

山本氏が店舗を立ち上げた経緯はやや複雑だ。不動産会社のグループ会社に役員として名を連ね、大阪でイタリアンバールを、東京でベーカリーを運営していた山本氏。リーマンショックで撤退を余儀なくされたため、自社ビルに両者をドッキングさせたイタリアンバールとパンの店を出した。

しかしうまく行かず、最初の1〜2年は大赤字だったという。

そこで思い切ってイタリアンバールの経営をやめ、パンだけに絞る。これが転機となった。

「もともと不動産のグループ会社でしたから、ビルのデザインにお金を使っていた。赤字の時代も、建築がおしゃれということでデザイン系の業界誌などには掲載されていたんですよね。知る人ぞ知るというか……。そこで、デザインを活用したブランディング戦略に切り換えました」(山本氏)

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