このような生き物としての生存本能をぐさりと刺激する喜びとコーフンを前にしては。やれブランド食材だやれ味付けだどうだやれ調理法がどうだやれスパイス使いがどうだ……つまりは「おいしい」かどうかなんぞ、実に表面的なことに思えてきたのであった。
っていうかですね、食べられるってことが、すなわち「おいしい」のである。ライオンだってカラスだって、野生動物はすべてそのように生きている。食べられるものであればなんだってもぐもぐと満足そうに食べている。つまり、食べ物は何だって、そもそもおいしいんじゃないだろうか?
サトイモの皮を食べ腰を抜かす
と思ったらデスね、私の採取生活はとどまることを知らなくなった。
何を見ても「これは……もしかして食べられるのでは?」と考えずにはいられなくなったのである。
そのままでは食べられないものも「お茶にする」という選択肢をプラスすると、野草採取の世界はさらに飛躍的に広がった。
ドクダミやビワの葉、スギナなど、乾燥させたものを煎じて飲めばおいしいお茶になる。
野草に限らない。玉ねぎの茶色い皮も、捨てる前に煎じて飲めば、甘く香り高いタマネギ茶である。ハッサクや夏みかんなど柑橘類の皮も細く切って天日に干して、番茶にブレンドして飲むと絶妙に爽やかでうまい。
ちなみにこれらワイルドなお茶類も、抜群に健康によいのだよ。例えばタマネギ茶の美しい色はポリフェノールなんですから♡
そう健康にいいと言えば、野菜だろうが果物だろうが「皮」に最も栄養があることは、知識としては案外多くの人が知っていると思う。でも実際にそれを食べるかとなると話は別ではないだろうか。硬いとか、汚いとか。
でも私にはそんな躊躇はどこにもない。何しろ「食べられる」もんは全部食べたいのである。大根、人参、ごぼう、かぼちゃはもちろん、サトイモの皮だって食べる。サトイモの皮なんぞ、素揚げして塩振って食べたら、サトイモの真髄とはコレだったかと瞠目せずにはいられないワンダホーな味がして腰を抜かしましたぜ。
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