駅の危険な「撮り鉄」、鉄道会社は規制できるか 迷惑行為続けば「撮影禁止」でも文句言えない

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刑法第130条には不退去罪の規定(3年以下の懲役または10万円以下の罰金)があり、人が管理する建造物から要求を受けても退去しない場合には犯罪を構成することになるから、撮影禁止に従わず退去を求めることについて法的な裏付けもある。

また、駅係員や乗務員への暴言は侮辱罪(刑法第231条・拘留または科料)、業務の支障となれば威力業務妨害罪(刑法234条・3年以下の懲役または50万円以下の罰金)に問われる可能性がある。

なお、車内の秩序を乱すようなことがあった場合には、鉄道営業法により係員がその旅客を車外または鉄道の敷地外に退去させることができる(鉄道営業法第42条第1項第4号)。

趣味の行為を法律で縛るのは不粋かもしれない。それはわかっている。私も今までどおり駅構内で鉄道写真を撮りたいと思っている。しかし今や、デジカメやスマホが普及して撮影のハードルが下がったからか、「撮り鉄」だけでなく鉄道趣味者でない人の撮影でも危険な行為を見ることがあり、このままでは駅構内を含めて撮影禁止場所が増えても仕方ないのでは、と危惧する。

最低限の礼儀は払うべき

冒頭の京浜急行電鉄のケースは、そもそも個々人の趣味にすぎないことで、どうして現場の係員に威張れるのか鉄道愛好家の一人として理解に苦しむ。鉄道会社にも最低限の礼儀を払わないと、ますます自分たちの首を絞めることになっていくだろう。

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「撮影マナー」という言葉をよく聞くが、マナーは法律と異なりペナルティの裏付けのない紳士協定である。紳士協定は関係者が意味を理解して自発的に守ることが前提である。それができないなら、もはやマナーなどというぬるい言葉で訴えるのでは足りなくなる。

法律が振りかざされ、「駅構内撮影禁止」などという掲示がされる日を迎えないために、私を含め鉄道趣味者の一人ひとりが今一度自分の行為を顧みてほしいと思う。

小島 好己 翠光法律事務所弁護士

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こじま よしき / Yoshiki Kojima

1971年生まれ。1994年早稲田大学法学部卒業。2000年東京弁護士会登録。幼少のころから現在まで鉄道と広島カープに熱狂する毎日を送る。現在、弁護士の本業の傍ら、一般社団法人交通環境整備ネットワーク監事のほか、弁護士、検事、裁判官等で構成する法曹レールファンクラブの企画担当車掌を務める。

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