なにかあったときの鉄道会社の負担から考えてみる。
駅構内で事故が発生して死傷者が発生したり、利用者の物が破損したりするようなことがあれば、鉄道会社が責任を追及されることもありうる。もちろん、駅は列車が高速で行き交う場所でもあり危険な場所であることは利用者も認識しているべき場所だから、鉄道ファンを含め駅のホームから人が転落したり触車したりして人的物的被害が生じた場合でも、鉄道会社が管理を怠っていなければ鉄道会社が責任を負わされることにはならない。
しかし、仮に鉄道会社に対して裁判が起こされれば、結論で鉄道会社が免責されたとしても、解決までに無用な時間と費用がかかる。日々裁判業務を行っている私からすれば、可能なら裁判など起こさない、あるいは起こされないに越したことはないとつねに思っている。裁判を起こさなくても済むよう、起こされなくても済むように事前に準備・対応をすることこそが重要である。
危険の芽を摘むのは当然
また、裁判などの法的紛争に発展しなくても、事故や支障が起きれば列車を止めなければならない。復旧作業もしなければならない。鉄道会社にとっては負担である。鉄道会社からすれば事故が起きないように少しでも危険の芽は除去したいと考えるのは当たり前である。
鉄道写真の撮影を駅構内などで許すことについて、鉄道会社の負担が大きく、危険が除去されず、利用者の批判的な声が大きくなるなら、駅の管理権を持つ鉄道会社の判断として、駅構内では許可を得た人以外は撮影禁止とされても文句は言えない。
観光列車も増えてきた今では記念撮影もあるだろうから、“許可者以外駅構内全面撮影禁止”とするのは難しいところも多いであろう。しかし、たとえば、撮影禁止場所を増やすとか、人が集まる可能性のある列車の運転日、運転時刻にあわせて、場所や時間を限定して撮影禁止とするという方法もある。
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