年収激減の「役職定年」乗り切るための心得 「人生の終わり」ではなく「通過点」とするために

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55歳役職定年は、昔の定年年齢と深く関係しています。今でこそ定年年齢は65歳に定められていますが、1970年代は55歳定年が一般的でした。これが1980年代に努力義務として定年年齢が60歳に引き上げられ、現在は65歳までの雇用機会の確保が義務となりました。

会社としては、定年が延長されることにより増える人件費をどうにかして抑えたい。その対応策として生まれたのが役職定年です。

課長職、部長職は一般的には40代から50代にかけて職務につくことが多く、経営側となる幹部と若手の部下の間にはさまり、成果を上げていく必要があります。年々ハードルが上がる目標数字、言うことを聞かなくなる部下との人間関係と悩みは尽きません。何とかやってきたと思ったら、年齢を理由にいきなり役職を解かれて、給与も大幅にカットされるのです。

個人としてはなんともやりきれないでしょう。ただ、企業の新陳代謝を考えれば理解できない話ではありません。あの世界有数の大企業であるトヨタでさえ、年功序列の制度で給料を年々アップする仕組みにメスを入れることが報道されました。企業も会社存続のために変化していかなくてはならない宿命にあるのです。

実際、役職定年を制度として取り入れている企業は多く、給与の削減幅は2割減程度が平均的なようです。

収入減でも仕事は変わらず

役職定年後の仕事内容についても、やる気を失わせる原因になっています。人事院の調査によれば、元の仕事と変わらなかった人が5割もいます。つまり、仕事内容にかかわらず、収入だけが大幅に目減りするのです。

しかも、これまで仕事をサポートしてくれた部下もいません。1人ですべての仕事を完結させる必要があるのです。あなたは、郵便を送る際の切手の保管場所や料金がわかりますか? わからない人は要注意です。うかうかしていると「働かない人」扱いされてしまいます。こうした庶務も、これからはあなた自身が行う可能性もあるのです。

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