「企業がケチになった」から日本経済は衰退した デフレや消費税は「副次的な要因」にすぎない

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労働分配率の低下は、労働分配率の低いIT業界などの従業者数が増えたことが原因ではなく、ほぼ全業種で起きています。

原因は、主に「モノプソニーが強くなって、労働者の交渉力が低下している可能性が高いことを示唆している」とあります。モノプソニーは、特にサービス業で働きやすいので、先進国の労働力がモノ作りからサービス業に移動すればするほど、労働分配率が下がりやすくなります(参考:日本人の「給料安すぎ問題」はこの理論で解ける)。

この論文では、生産性の向上に比べて、実質賃金が上がっていないことが労働分配率の低下の主な原因であるとしています。このことにより、格差が広がり、個人消費に悪影響を及ぼしているとあります。格差が広がる理由は、労働分配率の低下が低所得者中心に起きており、資本の分配率は上がっているものの、資本の分布は高所得者層に偏重しているからだとありました。

対GDP比だけでなく「総額」で減っている日本の投資

次に企業の投資動向を確認しておきましょう。

世界的に見ても、企業の投資は対GDP比で減少傾向にあります。

当然、諸外国は継続的にGDPが成長していますので、対GDP比率が下がっているとはいえ、絶対額は増えています。

しかし、日本では対GDP比で下がっているだけではなく、驚くことに絶対額も減っています。1994年から2019年までの間に、個人消費が19.4%も増えたにもかかわらず、企業の投資は9%も減っています。1990年から2018年の間に、先進国の対GDP比率が11.8%減少しているのに比べて、日本は29.5%も下がっています。

いうまでもなく、長期的には投資をすることによって、経済が成長し、賃金も上がります。対GDPで投資が減っているだけではなく、絶対額も減っていることは日本経済にとって大打撃です。だからこそ、日本の賃金は上がらず、諸外国との格差が次第に拡大しています。

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