高くても売れる軽キャンピングカー人気の理由 駐車場の確保や利便性から積極的に軽を選ぶ

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だが最近は、先に紹介したように若い世代やファミリー層の需要も増えている。こういった傾向は、業界団体の日本RV協会が2020年7月に発表した「キャンピングカー白書2020」内のアンケート調査結果でも明らかだ。

2020年2月1日~2月末日の期間に、同協会の一般ユーザー会員8873名を対象に実施した調査(有効回答数2821名)では、キャンピングカーユーザーの職業で最も多かったのは「会社員」の35.7%。次いで「定年により退職」26.0%、「会社役員」13.3%、「自営業」12.7%、「公務員」7.8%、「その他」4.2%と続く。

同協会では、これまで退職者の増加で高齢者のユーザーが増加することを予想していたが、調査結果では逆に現役世代の保有率が高まっている。恐らく、これは近年のアウトドアブームにより、キャンピングカー初心者が増えたことが要因であろう。前述のとおり、ファミリー層はもとより、1人旅のソロキャンプを楽しむ若い世代なども増えているからだ。

定年世代も変わらず需要は高い

では、高齢者のユーザーは減少しているのだろうか。前出のバンショップミカミが製作したテントむしの場合、担当者によると「(従来から需要が高い)高齢者のユーザーからも支持を受けている」という。つまり、このモデルに関していえば、ファミリー層から高齢者まで、幅広い年代が購入しているのだ。

軽キャンピングカーといっても仕様はさまざまなため、一概には言えないことも多いだろう。だが、若者や現役世代などのアウトドア初心者が、エントリーモデルとして購入するケースが増加傾向であることは確かなようだ。そう考えれば、少なくとも現在の軽キャンピングカーは、新規ユーザー向けモデルとして、業界におけるポジションを確立しつつあるといえる。需要の伸びが期待できることで、今後もまだまだ新作の市場投入や競合間の競争などが続くことが予想される。

平塚 直樹 ライター&エディター

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ひらつか なおき / Naoki Hiratsuka

1965年、福岡県生まれ。福岡大学法学部卒業。自動車系出版社3社を渡り歩き、バイク、自動車、バス釣りなどの専門雑誌やウェブメディアの編集者を経てフリーランスに。生粋の文系ながら、近年は自動運転や自動車部品、ITなど、テクノロジー分野の取材・執筆にも挑戦。ほかにも、キャンピングカーや福祉車両など、4輪・2輪の幅広い分野の記事を手掛ける。知らない事も「聞けば分かる」の精神で、一般人目線の「分かりやすい文章」を信条に日々奮闘中。バイクと猫好き。

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