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正蔵 「つまり、美化しないんですね。失敗ばっかり、トラブルばっかりな与太郎だって、しょうがねえけど仲間に入れてやっか!って。落語はそういう人間の大らかさを描き出している。だから落語を聞くと、生きているのもまんざら悪くない、頑張ろうって気持ちになる方が多いんですよ。それは落語の大きな魅力ですね」
田中 「落語は、すべてを肯定しますよね。あらゆる人を肯定して、人生そのものを肯定している。何かを否定することは絶対ないんです。いま世の中が否定的だからこそ、落語のあり方はすごいし、必要だなって思いますね」
石井 「確かにそうですね。コロナ渦のように人々が動揺したりイライラしている時にこそ、心落ち着かせるために落語を聴きたいと思う人は多いと思いかもしれません」
石井 「正蔵師匠にとって、落語の芸はどんなものなのでしょう」
正蔵 「落語は孤独な芸だと思いますよ。相手もいませんし。よく、ホール落語のリハーサルの時に、マイクや照明チェックで客席に座るんですけど、舞台の上にポツンと座布団一枚が置いてあるのを見ると、あ~怖いなって思いますよ」
石井 「それはどういう意味ですか?」
正蔵 「噺家は舞台の上で丸裸にされる。そしてどう生きてきたか、何をよしとしているかをさらけ出すんです。そうでなければ伝わらないし、お客さんの心には響きません。聴き手としても、なるほど!って膝を叩いたり、腹の底からおもしろかったり、トンチが効いてるな~って感心したり、話の魅力は色々あると思いますが、結局は演者にどれだけ魅力があるかに尽きるんです」
田中 「お客さんと面と向かって対峙するわけですからね」
正蔵 「面白い話があるんですけど。先ほどもお話した『芝浜』という人情話には大事な役回りでおかみさんが出てくるんですが、100人の落語家がいたら、おかみさん像も100通りなんですね。噺家は皆、理想の女性像をおかみさんに投影してしまうんです(笑)。綺麗なおかみさん、おっとりしたおかみさん、なかには泣いて喚いて場末のキャバレーのホステスさんみたいおかみさんが出てきたり、そういうのがこの人好きなんだ!ってわかっちゃう」
石井 「ワハハ! そうやって『芝浜』を聞いたら絶対面白いですね。ちなみに正蔵師匠のおかみさんは?」
正蔵 「私の場合は、タカラジェンヌが出てきますよ❤︎」
(一同爆笑)
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