初心者でも予習は不要!「江戸落語」の楽しみ方 寄席は「晴れた休日の昼間」がオススメなワケ

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正蔵 「それから落語は大衆芸能であり、人々の暮らしの中に深く根付いていました。今のようなテレビやワイドショーがない時代には『あそこのご隠居さんがこんなこと言って、騒動になっちゃった』みたいな、街場で起こった出来事や些細ないざこざ、喧嘩なんかを、寄席で落語家が語り部として面白おかしく語っていたんですね」

田中 「江戸落語と上方(大阪・京都一帯)落語で言うと、僕の中では江戸の落語は上方より人情話が幅広くあるイメージです」

正蔵 「上方にも人情話はありますが、確かに江戸は笑いに涙の要素を入れた話が多いかもしれません。そもそも江戸落語と上方落語は、成り立ちが違うんです。上方は辻(通り)にあるバラックのような小屋掛けのところで、小拍子(小ぶりの拍子木)を持って、三味線を入れて、と賑やかに演じるものでした。一方、江戸の落語はお座敷に人を呼んで演じるお座敷芸。上方は派手で華のある芸風である一方、江戸は削って、削って素語りに近い芸風だったんです」

【ポイント】
■ 落語は滑稽噺を基本とした大衆芸能で、庶民の暮らしの中に深く根付いていた
■ 上方落語に比べると江戸落語は、笑い+涙の要素を入れた人情話が多い
■ 元々上方落語は辻で演じられた派手で華のある芸風
■ 江戸落語はお座敷芸で素語りに近い削りに削った芸風

マニアックな人とは行かないこと

(写真:トヨダリョウ)

石井 「初めて落語を見に行く時に気を付けることってありますか?」

正蔵 「まずは寄席(※)に行っていただきたいですが、その時はマニアックな方とは行かないこと(笑)。その手の人はアートでも、音楽でも、伝統芸能でも、当人の好みを押し付けられる場合があります。初心者の方が聞いたら楽しいだろうというものではなく、私が好きだからいいでしょって、これが一番よくないんです」

田中 「確かに、ありがちですね(笑)」

正蔵 「初めて行く際の私のオススメはね、晴れた土・日・祝日の昼間にやる寄席!」

石井 「おお~! それは一体なぜですか?」

正蔵 「実は噺家って、お休みの晴れた日と、平日の寒い日や雨の日にする話はまったく違うんです。休みの日の昼間はビギナーの方が多いので、わかりやすい話を選ぶ一方で、平日、しかも悪天候でも聞きに来るような客は本当に落語が好きな人がほとんど。だからそういう日は普段やらないようなわかりづらい話も、通じるかな?と思ってチャレンジする場合もあるわけです」

※寄席は落語を中心に講談や漫才など様々な演芸が行われている場所で、いろんな噺家の落語を一度に聞くことができる。1回の寄席は3~4時間で出入りの時間は自由(再入場は不可)。上野の鈴本演芸場や浅草演芸ホール、新宿の末廣亭などが有名。料金は2500~3000円程度。

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