個人が「コロナ抗体を売る」アメリカと日本の差

アメリカで注目を集める「血漿ビジネス」とは

血漿献血ルームプラズマ(写真:筆者提供)

血漿の献血は「プラズマ・ドネーション」と呼ばれており、これまでにほかのウイルス治療でも行われていたが、現在は新型コロナ感染者が多いこともあって至る所に施設があり、広告や宣伝が頻繁に行われているのだ。

「私の血液が高齢者や誰かの命を救うことができるのならと思ってドネーションしました。インターネットで家の近くを調べたのですが、ファスト・フードのサブウェイの隣にあったため、気軽に行ける場所でした。そこで驚いたのが、血漿献血をした後に100ドルの謝礼をいただいたんですね。週に1〜2回可能で、毎回抗体検査があり、行くたびに健康チェックをしてくれます」(回復したアメリカ人感染者)

私たちの体内の血液は、全体の役割の45%が細胞成分、残り55%程度が「血漿」成分で成り立っている。ワクチンは体に抗体を作るが、回復者の血漿を用いた治療法は、体に直接抗体を送り込むため、免疫系が有利に働き、重症化を防ぐ治療方法として期待されている。FDAは血漿を投与した患者の死亡率が35%下がり、とくに80歳未満の患者で効果が高かったと発表している。

回復した患者から提供された血液からの血漿は、実際に2通りの方法で使用可能になるという。

(出所:The fight is in us)

図の左側にある「PATH 1」は、患者に点滴や注射で血漿を直接投与する治療法。右側の「PATH 2」は、採血後、濃縮精製してから投与する「高力価免疫グロブリン」と呼ばれるものだ。

「高力価免疫グロブリン」とは、感染からの回復期にあるドナーから採取された抗体のことをいう。

日本も臨床研究と体制の整備に着手

日本では3月2日、国立国際医療研究センターが、回復した人の血漿を、別の患者に投与する「回復者血漿療法」の臨床研究を始めたと発表した。政府は2020年度の第3次補正予算において「特殊免疫グロブリン製剤供給体制整備支援事業」として、9億9000万円の予算を計上。厚生労働省が(中心となり)国内供給体制の整備に着手することになった。

実施計画は日本赤十字が医療機関と連携し、新型コロナ感染症回復者から採血し、血漿を採取するという流れだが、健康な人からの献血ではなく、新型コロナウイルスの回復者からの血漿採取は国内初の取り組みとなる。

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