コロナ禍を理由に留学させない日本の大学

文科省“依頼"への忖度が学生の機会をゆがめる

文科省の依頼で大学から留学を阻止させられる学生が増えてきた(写真・NOV/PIXTA)

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、海外からの留学生が日本に入国できない問題がクローズアップされている。ところが日本の大学でも、海外の大学への留学が決まったのに、日本を出国できないケースが相次いでいる。

一例を挙げよう。都内の大学に通う男子大学生は、学内の厳しい審査に合格し、2020年夏からオーストラリアの大学に派遣留学する予定だった。ところがコロナ禍で、オーストラリア政府が日本人の入国を認めなくなり、泣く泣く断念した。コロナ禍が収まらぬ中での受け入れ相手国の決定でもあり、これは仕方がないと諦めがついた。

あいまいなリスクの捉え方

この学生は気を取り直して学内審査に再挑戦し、今度はフランスの大学への派遣留学を勝ち取った。マクロン大統領も卒業した、パリ政治学院である。オーストラリアとは異なり、フランス政府は到着後1週間の自己隔離とPCR検査を受けることなどの条件付きで日本人の入国を認めている。

これでついに海外留学の夢を叶えられると思ったのもつかの間、今度は在籍する大学から、現時点では派遣は認められないと告げられた。その理由は、「リスク管理の方針に基づく」と説明したというのだ。学生が派遣先で感染するリスクを念頭に置いての決定なのか、学生が日本に帰国した際にウイルスを持ち込むリスクを意識してのことかははっきりしない。

ただ、出国を止められたこの学生は、納得がいかないと話す。現地では最大限、気をつけるつもりだ。また、渡航先から日本に帰国する際は検疫でのウイルス検査や2週間の自主隔離など、厳しい管理の下に置かれる。これに従っている限り、ウイルスを日本国内に持ち込む可能性は極めて低いのではないか。大学の判断は、合理性をとても欠いている――。アメリカの大学に決めた友人も、入国できるはずなのにと不満を漏らしているという。シンガポールの大学を選んだ別の友人は、留学に強い希望を抱く一方、来年まで待っても状況が変わるとは限らないと頭を抱えている。

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