日本の会社があまりに停滞している根本的理由 「会社」と「企業」は一体どこがどう違うのか

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競馬である。

競馬界でも「日本的な病巣」が再び発覚した。ドバイにおいてである。

3月27日、世界最高賞金水準のレースが同地で行われた。1996年の第1回のドバイワールドカップをアメリカ史上最強馬のシガーが勝って以来、毎年恒例のイベントで世界中から1流馬が集まり、世界最強馬決定戦が行われている。ちなみにシガーはG1で11勝。また16連勝を記録、約30億円で種牡馬入りしたが、無精子症で1頭の牝馬も受胎できなかった。

それはさておき、今年のドバイワールドカップのG1 4つのレースで、日本馬はすべてで2着となった。芝の最強馬決定戦と言ってもよい「シーマクラシック」では、クロノジェネシスがクビ差2着、ラヴズオンリーユーがさらにクビ差の3着だった。

これを見て「日本馬はすごい、世界最強レベルだ、今年はよくがんばった、すばらしい!」という競馬ファンが多いが、まったく違う。

そんなことだから、日本の競走馬は1流になっていても、日本の競馬はいつまでも2流なのだ。競馬は勝つことがすべて。2着もビリも一緒である。血統書に残るのは、何勝したか、勝ったレースは何か。種馬の価値も繁殖牝馬の価値も、勝ちだけで決まるのである。だから、今年の結果は「勝てる力があったのに勝てなかった最悪の結果」なのであり、言いすぎかもしれないが日本の恥なのである。

やはり前回の記事でも述べた「勝つという目的のない日本軍」「一矢報いる」「いいところを見せるのが目的」「やっている姿を見せる日本政治」と本質的に変わらないのである。そして、今回述べた「最終目的なく頑張っている経営者や社員」とも同質なのである。

桜花賞は歴史に名を残しそうな「白毛馬」で勝負

それはさておき、3歳牝馬の頂点を競う桜花賞(11日阪神競馬場第11レース、距離1600メートル)は、今年最初のクラシックだ。それこそ、勝ち馬は歴史に間違いなく名を残すことになる。したがって、予想もこれまでしっかり勝ってきた馬から。

桜花賞は、昨年末に行われた2歳女王決定戦である阪神JF(ジュベナイルフィリーズ、G1)と同じコース設定で行われる。阪神JFは有力馬がそろっていたから、このレースで僅差の4着までは実力は横一線だろうし、鼻差敗れたサトノレイナス(8枠18番)は、大外枠に入ったが、勝ったソダシ(2枠4番)と同じくらい人気を集めるかもしれない。

しかし、鼻差でも勝った馬が強い。よって本命はソダシ。彼女は珍しくかつ非常に美しい白毛である。馬券的には人気先行だが、ここでクラシック馬となり、人気実力ともナンバーワンになってほしい。

ヨカヨカ(6枠12番)はどうか。九州産馬、しかも熊本産で、名前もそのもので、応援したいが、残念ながら勝つ可能性はゼロだ。今後、必勝体制で参戦できるレースに臨んでほしい。

馬券的な妙味で行けば、メイケイエール(4枠8番)。底力は断然だ。しかし、気性が悪すぎて、前走のチューリップ賞(3月開催のトライアルレース)でも、あの武豊騎手をもってしても御しきれず、最後の直線でもクビを上げながら走っていたが、勝ってしまった。今回は横山典弘騎手に乗り代わって人気も落ちるので、狙い目だ。

したがって、私が買うのは、ソダシの単勝。え?「お前は何の目的で馬券を買っているのか」って? それは儲けるためでも、当てるためでもない。買いたい馬券を買っているだけのことさ。日本的な馬券師だから。

小幡 績 慶應義塾大学大学院教授

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おばた せき / Seki Obata

株主総会やメディアでも積極的に発言する行動派経済学者。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現・財務省)入省、1999年退職。2001~2003年一橋大学経済研究所専任講師。2003年慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應義塾大学ビジネススクール)准教授、2023年教授。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。著書に『アフターバブル』(東洋経済新報社)、『GPIF 世界最大の機関投資家』(同)、『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書)、『ネット株の心理学』(MYCOM新書)、『株式投資 最強のサバイバル理論』(共著、洋泉社)などがある。

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