事業仕分けの仕掛け人、現場の風を官に吹かせた--加藤秀樹・行政刷新会議事務局長

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文化再発見にも編集力 次は「民」の仕分け

ただし、独りでは引っ繰り返せない。構想日本がそうだったように、加藤の武器は、ネットワークだ。自治体職員、商社マン、大学教授、そして、現役官僚の隠れファン。

人を集め、つなぐコーディネーターとしての加藤のもう一つの顔は、面倒見のいい人情家の顔である。松井が通産省を辞めて政治家を志そうと決めたとき、加藤はその場で餞別を差し出し、二つ返事で推薦人になってくれた。「ベタベタしない都会的な人だけど、腹をくくって後輩の面倒を見てくれる」と松井は語る。

そんな加藤だから、政策提言以外の活動も全力投球だ。

加藤は05年、俳人の黛まどかが呼びかけ人である「日本再発見塾」の運営に慶應大学の学生らと共に携わるようになった。日本文化の原点である田舎の魅力を見つめ直そうと、泊りがけで職人らの話を聞き、地元文化を追体験する参加型セミナーだ。加藤にとっては「言葉や文化のルーツがある田舎を訪ね、われわれにとっているものいらないものを考える」場所である。

ここでも、実行委員会や事務局の立ち上げなど持ち前のコーディネーター力を発揮した。黛にとって加藤は「編集力に優れた人」に映る。

「地方で感じたことを、今の時代に当てはめて、どういう現象として起こっているのか、情報を編集してその背景を説明してくれる。話を聞いていると目からうろこが落ちる」

加藤は“考える場”を政治家向けにも組織している。3カ月に1回、10人ほどの勉強会「幹塾」がそれ。大臣経験者も参加している。

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